〈非課税〉のはずの宗教法人で「脱税」が相次いでいた…住職たちの知られざる〈収益事業〉の実態【税理士が解説】
宗教活動に税金はかからない
宗教活動をしている宗教法人には、税金がかかりません。税金とは、法人の所得である利益に対して課税されるものだからです。 宗教活動は一般の法人とは違い、営利目的で行われているものではありません。そのため税法上、宗教法人の宗教活動には課税されないとされています。 しかしお寺は宗教活動だけでなく、宗教活動以外の収益事業を行っています。例えばお賽銭は寄付となりますが、結婚式などの収益活動で得た利益には税金がかかります。このような課税分と非課税分が混在しているため、きっちりと収益を管理していないと所得隠しと疑われてしまいます。
納税の意識が乏しい
お寺の事業の中には、宗教活動以外のものがあり、これらは税金がかかります。しかし一方でお布施や寄付、賽銭やお守りの販売は非収益事業とされ、非課税となります。 宗教法人で行う事業全てが非課税ではないので、適切な処理をしなくてはいけませんが、線引きが曖昧になってしまう部分があるのかもしれません。 お寺で脱税をしてしまう理由として、このような意識の低さが指摘されます。 住職の多くが経営者になっている 住職は、お寺の宗教法人から給料が支払われている場合があります。この場合は給料は源泉徴収をしなくてはならず、税金を納めているものです。 税務上は住職であっても、サラリーマンと変わらない給与形態であるとわかります。お寺から住職に支払われる給与は課税対象となりますので、申告せずに私的流用すると脱税となります。 しかし実際のところ住職は雇われているという感覚は低く、経営者のような状態となっています。お寺が得た収益は、住職の意のままというのが現実的なところといえるでしょう。
お寺が納税すべき34の収益業務
お寺には非課税になる宗教活動と、課税の必要がある収益業務があるとお伝えしました。具体的に収益業務となるものは、以下の34種類となります。 物品販売業不動産販売業金銭貸付業物品貸付業不動産貸付業製造業通信業、放送業運送業、運送取扱業倉庫業請負業印刷業出版業写真業席貸業旅館業料理店業や飲食店業周旋業代理業仲立業問屋業鉱業土石採取業浴場業理容業美容業興行業遊技所業遊覧所業医療保健業技芸教授業駐車場業信用保証業無体財産権の提供業労働者派遣業これらの34種類の事業が収益事業となり、関連して行われるいわゆる付随行為も収益事業に含まれます。 参照 : 国税庁|令和4年度版宗教法人の税務
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