松山商が「秋春連覇」を果たした春季県大会 ベスト4指揮官が春の戦いで得た手応え
松山商が2年ぶり16度目の優勝を飾った春季高校野球愛媛県大会。昨秋に続く「秋春連覇」を達成した松山商は新チーム結成以来、県内公式戦で負けなしとなり、夏も優勝争いの中心となることは間違いない。ただ、ライバル各校の追い上げも必至。春季大会ベスト4に入ったチームの指揮官たちが、春の戦い通じて感じた手応えと課題とは。(多田良介) 松山商の勝負強さは際立っていた。中予地区予選で松山聖陵を2-1で下すと、県大会では1回戦で川之江に7-6で競り勝ち、準々決勝は小松を4-2と振り切った。昨秋の県大会決勝の再現となった準決勝の今治西戦は少ないチャンスを生かして4-1で勝利。済美との決勝も主導権を握り続け、5-2と快勝した。地区予選から決勝まで全て甲子園出場経験のある学校を撃破しての優勝。大野康哉監督は自信を深める。「私も赴任して4年間がちょうど終わりましたけど、松山商業としての野球を確立していくことを、時間をかけて一歩一歩やってきました。それが今の選手たちのプレー、そしてこの結果につながっているんだろうと思います」 松山商と決勝で対戦した済美は、昨秋の県大会1回戦負けからの躍進となった。準々決勝の松山学院戦では終盤まで1点を争う接戦を制し、準決勝の西条戦は九回サヨナラ勝ちと粘り強い試合運びが印象的だった。田坂僚馬監督は大会をこう振り返る。「まず田河(悠斗)が大会を通じて非常にいい経験を積ませてもらったというのが第一ですね。うちはメンバーの半分近くが新2年生なので、緊迫したゲームをこなせたというのはよかったなと思いますね」 昨秋の県大会決勝で松山商に苦杯をなめた今治西。仙波秀知監督は組み合わせが決まったときから、松山商と対戦する準決勝に照準を絞ってきた。対戦では二回に2点を先制されたが、エース渡地琥太郎が試合をつくり、五回に1点差に迫る粘りを見せた。しかし、七回に突き放され、1-4で競り負けた。 ベスト4の結果に、仙波監督は「四国大会はかなり意識していました。上位の大会に出て場慣れすることはすごく大事だと思っていたので。目標を達成できずに悔しい」と話す。 もうひとチーム、ベスト4の一角を占めたのは西条だ。県大会1回戦は松山中央を6-3、準々決勝は三島を11-1で下して4強入り。準決勝の済美戦では終盤まで1点を争う接戦を演じたが、最終回に犠飛でサヨナラ負けを喫した。昨秋の1回戦負けからのベスト4進出に、河野健介監督は一定の収穫を得た様子だ。「ここまでクロスゲームの経験がなかったので、この時期にこういう試合ができて、紙一重のプレーの大事さというのは選手たちが一番わかったと思う。夏に向けていい負け方というとおかしいですが、夏につながりやすい負け方だったと思います」 上位校の実力が拮抗し、「戦国時代」と表現される近年の愛媛の高校野球。春の4強以外の有力校も虎視眈々と戦力強化を図る。夏の甲子園を懸けた愛媛大会まであと約3カ月。すでに夏に向けた戦いは始まっている。
愛媛新聞社