万博浄化作戦が始まった!? 風俗ジャーナリストが語る大阪・京橋ピンサロ摘発の〝異様さ〟
全裸になった3組の男女が……
10月8日、京橋と堺東にある風俗店でわいせつな行為が行われたなどとして、大阪府警は風俗店3店舗を一斉摘発。京橋のピンサロ『学校坂3年K組』の実質的経営者と従業員ら店舗関係者13名、現場にいた客の男性3名ら18人を逮捕した。 【すぐ美女ご案内できますっっ!】すごい…'21年に摘発されてしまった人気ピンサロ店の呼び込み看板 「今年2~10月にかけて『学校坂3年K組』と『学校坂堺東店』(堺市堺区)の2店舗で、他の客ら不特定多数に見える状況で女性従業員に全裸で性的サービスさせた公然わいせつの疑いです。捜査員が踏み込んだとき、京橋の店内ではいずれも全裸の男性客3人とピンサロ嬢3人が〝プレイ〟の真っ最中だったそうです。客席は高さ1mほどのパーテーションで仕切られているだけで、全裸になった男女の陰部が丸見えでした。また別の従業員2人が共謀して6~10月の間、性風俗店の禁止区域で『京橋コスプレアイドル学園』(同区)を営んだ風営法違反の疑いで逮捕されています。今回は『店内で売春している』というタレコミをもとに摘発に至ったようです」(社会部記者) 『学校坂3年K組』と『京橋コスプレアイドル学園』が入っていた京橋のサンピアザビルと、『学校坂堺東店』が入っていた堺東のジョイント2ビルは大阪では有名な“風俗ビル”である。この2つのビル内のピンサロが摘発され、しかも男性客まで逮捕される事態となったのは極めて異例のこと。少なくとも、私の記憶にはない。 ◆東京五輪前のケースと酷似 東京では’21年5月22日に上野のピンサロ『マジックバナナ』が摘発された際、同様の理由で公然わいせつ罪が適用され、店の経営者や女性従業員、さらに客1人を含めた計8人が逮捕された。警視庁が公然わいせつ罪でピンサロを摘発したのはこれが史上初であった。 東京オリンピック開催直前の同年7月6日には、巣鴨のピンサロ『曙』が摘発され、女性経営者らが同じ容疑で逮捕されている。常連客を多く抱える優良店だっただけに、業界関係者の間で衝撃が走った。私は摘発の件を知ったとき「あの(何の問題もない)『曙』がなぜ?」と思った。確かに女性従業員が全裸になることはあるが、前述の店に限ったことではない。一連の摘発は東京オリンピックを控えた警視庁の〝一罰百戒〟的なパフォーマンスともいわれた。 今回の大阪府警による摘発は、大阪・関西万博開催に向けての浄化作戦が関係していると思われる。つまり〝風俗店はなるべく目立たないようにして、おとなしく商売してほしい〟というメッセージが込められているのだろう。万博開催期間とその前後は、風俗店が騒ぎを起こしたり、問題を起こすことは普段に輪をかけて〝ご法度〟なのである。 ◆「丸見え」な店内の構造は法で決まっている ピンサロは法的には〝性風俗店〟ではなく、あくまで〝飲食店〟として営業しており、風営法の規定によって個室を設けられない。また仕切りが低いため、店内は周囲が見渡せる構造になっていることがほとんどだ。今回の摘発では「ブースの間の仕切りが1mほどで、他の客から見える状態でわいせつな行為を行った疑い」と報道されたが、風営法には設備についての細かな規則があり、ピンサロの客室は見通しをよくする構造が求められている。日本中のどのピンサロも基本的にこの形で長いこと営業しており、今回摘発された店に限ったことではないのは周知のとおりである。 ピンサロが性的なサービスを提供していることは、警察は当然、百も承知である。「公然わいせつ罪」で摘発することはいつでもできたが、これまでは「グレーゾーンにあたる」として黙認されてきた。ソープや〝ちょんの間〟と同様、歴史的な経緯もあり、警察から〝おめこぼし〟いただいてきた部分もあるだろう。ピンサロの前身は1950年ごろに誕生した大阪・ミナミのアルサロ(アルバイトサロン)であり、現在のピンクサービスを売りにする形態は1960年ごろから始まったといわれている。これまで半世紀以上もあいまいな形で承認してきたものを、いきなり「ピンサロは違法だ」と摘発するのは、万博開催に合わせた盛り場対策が大きく影響を及ぼしている可能性が高いのである。 京橋と堺東のピンサロが摘発されたのとほぼ同時期に、十三のガールズバーと梅田の立ちんぼも摘発されている。サミットやオリンピックなど国際的なイベントがある際には、「臭いものには蓋をして、先進国としての体面を保ちたい」という〝国恥意識〟から風俗店の取り締まりが強化される傾向にある。今回の摘発劇も〝歴史は繰り返す〟ということなのだろう。 取材・文・写真:生駒明
FRIDAYデジタル