キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位作品「せかいのおきく」は江戸時代、サステナブルな青春グラフィティ
すべての営みは自然を中心に循環してゆく――循環型社会を再考する
時代設定は江戸末期(1858~1861年)。監督の「侍同士よりも、庶民の姿に興味がある」との言葉に得心した。と、同時に空や木々、川や池、畦道や竹林の実景も実に印象に残る。撮影の笠松則通氏によると「これまで実景はあまり使わない監督が、今回は変わった」そうだ。これに対し「すべての営みは自然を中心に循環してゆくテーマだけに実景は今回大事だった」と監督は答えている。 往時は“御不浄”“汚穢”とも呼ばれたモノにスポットを当て、青春の光と影とともに、かくも美しく前向きに捉え、循環型社会を再考する……“厠の年”に相応しい、素敵な青春・ふん尿譚。DVD特典として舞台挨拶集、インタビュー・メイキング、予告編&特別映像集も興趣を増し、再々度観たくなる! 文=秋本鉄次 制作=キネマ旬報社
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