なぜこんなことに?…10代から働き続けた66歳男性、年金機構から届いた「年金支給停止」の通知に仰天【FPの助言】
年金の削減を免れるにはどうしたらいい?
公的年金の削減を免れるためには、給与収入(賞与、通勤手当等も含む)と厚生年金の金額を合計し、48万円以内に抑えること、また48万円を超えても可能な限り報酬を抑えることで減額を免れることができます。 中小企業の場合、給与の支払い方もある程度融通を利かせてくれることもあります。たとえば、給与で受け取る金額を減額し、代わりに退職金として払ってもらうのも一つの方法です。また、給与を下げ、代わりに企業型確定拠出年金やその他の企業年金制度などを活用することで、会社の経費でリタイア時に受け取れる資産をつくる方法もあります。 さらに、定年後は業務委託の形態を取り、社員としてでなく下請け業者として仕事を請け負うことでも、支給停止されずに受け取ることができます。 このように、給与の受け取り方を調整したり、一度退職して外注扱いになるなどの方法を取ることで、公的年金の受給額には影響を与えずに働いた稼ぎを手にすることができます。 もちろん状況によってこういった調整が難しい場合もありますが、大手企業でもフリーランスとしての働き方を推進している動きもあるため、会社と交渉してみるのもよいでしょう。
年金と収入のバランスを取って損をしないように工夫する
今回は在職老齢年金の仕組みにより、厚生年金が一部支給停止となってしまった事例を紹介しました。せっかく公的年金を受け取ることができる時期になったのに、年金が減らされてしまう仕組みは、定年延長や労働力の確保を課題とする現状において、時代に合わない制度ともいえます。 また、とくに収入が高い人は厚生年金部分の受給額も高くなるため、65歳以降に収入を得ている場合に在職老齢年金によって減額される金額も大きくなりがちです。原則として収入が高い人ほど高い年金保険料を支払う制度になっているのもあり、「長年高い保険料を納めてきたのに、なぜ受け取るときに減額されなければならないのか…」と、納得がいかないという人も多いことでしょう。 しかし、損をしないためには、制度の範囲内で年金と収入のバランスを取り、損をしないように工夫するしかありません。65歳以降も働く予定がある人は、まずはこの「在職老齢年金」という年金減額の仕組みがあることを知っておくことが大切です。 そして、現役世代と同等以上の収入を得る予定があるのか、公的年金が減額される可能性があるのかどうかを確認してみましょう。もし減額の可能性があれば、税制面なども加味しながら最適な給与の受け取り方や働き方を検討することをおすすめします。そうすれば、あとから後悔することなく、納得のいく年金の受け取りができるでしょう。 小川 洋平 FP相談ねっと
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