老主人公がビニール袋一つで800キロの旅へ 最後はタイトルの本当の意味もわかる「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」
その言葉に心動かされたハロルドはすぐにホスピスに電話をかけ、伝言を頼んだ。「今から、歩いて会いに行くから、それまで生きていてくれ」
準備もせず家を出たときの身なり。ビニール袋ひとつのほか何も持たないまま、いきなりハロルドの800キロの旅が始まる。
日中はひたすら歩き続け、夜は安宿か野宿。デッキシューズはボロボロになり、脚も腫れ上がり、とうとう行き倒れになったハロルド。
たまたま出会ったスロバキアから移住、医師免許を持っているのに清掃の仕事しかない女性が介抱してくれた。
旅を続けながらさまざまな人と出会い(犬も)、自分の過去を見つめ直すハロルド。
徒歩の旅が新聞に報じられ、いっとき、ヒーロー扱いされるハロルド。
が、この旅はひとりで歩き続けなければならない。クイニーのために――。そして自らのために――。
旅の結末はぜひ映画をご覧いただきたい。
「まさかの旅立ち」の本当の意味がわかるのは映画を見終わってからだ。
イングランドの南から北へ800キロ、その美しい風景も、この映画の見どころのひとつだ。