「アンリアレイジ オム」デビュー メンズでは避けられない王道のパターンに向き合えるか?
ウィメンズでも「美しい洋服に仕上げれば良いのに」
ただ、メンズを立ち上げたからこそ、それが「ウィメンズとは異なるアプローチ」だからこそ、強くリクエストしたいことがある。そろそろ、王道の美しいパターンも、形にしてみるのはどうだろう?
紫外線で色が変わったウィメンズを見た時から、「革新的ゆえ大勢に感嘆してもらえる素材だからこそ、美しい洋服に仕上げれば良いのに」と考えたものだ。素材の“硬さ”などが原因なのだろうか?誤解を恐れずに言えば、「アンリアレイジ」のパターンは洗練を避けているように映る。その思いは、パターンが命のジャケットを避けて通れないメンズだからこそ、なおさら募った。
今冬発表した“ドラえもん”に着想したウィメンズのように、「アンリアレイジ」は、新しいパターンを追求したい思いが強いのは理解しているつもりだ。しかし、「真逆に位置する」というなら、メンズでは王道のパターンワークに取り組んでも良いのではないか?正直、ダッフルやベースボールブルゾンなどでニットを多用したのは、緻密なパターンワークを避けようとしているのでは?と邪推してしまう。
森永デザイナー同様、2000年代初頭には原宿に憧れていた身として、あの頃と今は、決定的に違うことがあると思っている。それは、今の世代は「本物」、歴史に裏付けられた「本物」に価値を抱くということだ。だからこそ、王道のパターンは避けては通れない。そして、それを身につければウィメンズもまた一歩、進化出来るはずだ。