風呂上がりの和田毅投手は敵地での戦い方を教えてくれた 秋山元監督に背中を押され指導者に 元中継ぎ金無英さんが明かすレジェンドの金言…【第2期OTTO!学生スポーツゼミ⑦】
孤独なマウンド1カ月に10㌔超の体重減も
金さんが忘れもしない初登板は、ルーキーイヤー2009年7月のロッテ戦。敵地でロッテファンの熱狂的な応援に圧倒された。 「あれを自分への応援と思って投げないといけないよ」。先輩の和田毅投手が風呂上がりにドライヤーで髪を乾かしながらさらりと言ってくれた言葉が心に残る。「あれはかっこよかった。一流選手は風呂場とかでそんなアドバイスをくれる」。長くクローザーとして活躍した馬原さんから聞いた「球場以外は野球のことを考えない」との言葉も印象に残る。 マウンド上は孤独だ。試合後は胃が痛くなり、食事がなかなか喉を通らないこともあった。「めざましい活躍をする一方で、1カ月に体重が10㌔以上減る投手もいた」という。 ソフトバンクで貴重な中継ぎとして活躍後、2016年に移籍した楽天で引退した。晩年は肩や肘の故障に苦しんだ。 引退後は焼肉店を経営したいと考えていたが、独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスからコーチ就任の話が舞い込む。秋山幸二元監督に相談したところ「お前は野球人なんだから。指導者のチャンスは限られている」と背中を押された。その後、環太平洋大コーチを経て、母校の日経大コーチに至る。 「最初は自分の知識や経験を言葉で伝えるのが難しかった。(現ソフトバンク投手コーチの)倉野信次さんに相談したり。みんなプロを夢見ているから頑張るし、少しやり方を教えたら本当にうまくなる。だから指導者は面白い」 いつか指導者として古巣ホークスのユニホームを再び着てみたいー。金さんにはそんな夢がある。
西日本新聞社