【高校サッカー選手権】1点を守り切った甲州のタイガー軍団・東海大甲府が35年ぶりの決勝へ
11月2日、第103回全国高校サッカー選手権山梨予選準決勝がJIT リサイクルインク スタジアムで行われた。第2試合は39年ぶりの選手権出場を目指す東海大甲府が前回準優勝の日本航空に1-0で勝利し決勝進出を決めた。東海大甲府は39年ぶりの優勝を目指して9日に同スタジアムで山梨学院高等学校と激突する。 【フォトギャラリー】日本航空vs 東海大甲府 「ロングボールを蹴らせて、その準備をっていうところを(選手たちには)言ってたんですけど、早い時間で点が取れたので、あまり前から行かなくても、誘導してボールを奪う自分たちの形ができた。追加点があればベストでしたがゲームの流れとしては良かったです。」と大石奨梧監督も満足な表情を浮かべたように、ここまで選手権予選無失点の東海大甲府がこの試合でも堅守を見せつけた。 第1試合に続き、雨の中で始まったゲームは4分、東海大甲府がPA前でFW7水越成皇からパスを受けたFW10勝見周也がDFを交わしてシュートに持ち込むが、これはGK1平野大愛にコースを変えられゴールならず。しかし、12分、勝見からのスルーパスに抜け出した水越が「自分は左利きなので打とうとしたけど、落ち着いて(もう一度)カットインして打てた」粘るDFを交わして蹴り込み先制、前半を1点のリードで折り返す。 後半に入ると日本航空はDFの背後を狙い、反撃に出るが、東海大甲府もCBのDF4千野耀羅を中心に粘り強く対応し決定機を作らせない。 その後も一進一退の展開が続くなか、日本航空はDF4加藤諒丈を上げパワープレーに出ると迎えたアディショナルタイム、ロングボールから裏を狙った右サイドのMF18齋藤優真からの折り返しを加藤がワンタッチで合わせるも、無情にもボールはサイドネットに。その後もCKから日本航空の猛反撃が続くが、GK1田川直樹がゴールに蓋をし、結局、水越のゴールを守り続けた東海大甲府が山梨学院の待つ決勝へ駒を進めた。 試合後、大石監督は「延長まで粘り強く守って勝てました。帝京第三戦の時にできなかった自分たちがボールを保持して動かして、チャンスを得点まで持っていくことができた。前半にもう1点取れたら、ちょっとゲーム展開ももう少し楽になったと思います。追加点を取れなかったのが課題です」と試合を振り返ると決勝に向けては「多分個々の能力だったり、普段プリンスでやってるっていう経験値の違いもあるとは思うんですけど、チャレンジャー精神で臨みたいです。(東海大甲府が前回選手権に出たのは)僕が生まれる前の話なんですけど、僕自身が結構何年ぶりっていうのを更新していて、1番長いのが大学のインカレ出た時が36年ぶりだったんですけど、それよりまた長いので選手と一緒に歴史を変えたいです」と意気込みを見せた。 決勝ゴールを決めた水越は「こういうゲームで去年は勝てなかったので、勝ち切れて、それも決勝点が自分だったので、本当にものすごく嬉しいです」と笑顔を見せると「1年生大会で負けてること、悔しい気持ちもあったから、打倒・(山梨)学院だと頑張って来たので、何がなんでも絶対に勝ちを目指してみんなで頑張っていきたいと思います」と決勝に向けて抱負を語った。 終盤の苦しい場面に守備で貢献したDF13澤田湘太郎は「気持ちですね。抜かれなきゃ失点することないので、気持ちで抜かれないように頑張りました。今大会も失点をしていないので、大会の中で成長したのもそうですし、この夏でそういう守備っていうところを意識してやってきて発揮できて良かった」と、ここまでの戦いぶりを振り返ると、決勝に向けては「相手は攻撃的だし全国レベルなんですが、僕が抜かれなければピンチは作られないと思うので、1対1を負けないっていうところを重点的に置きながらも、攻撃参加とかでアシストとかで貢献したい」と自信を覗かせた。 (文・写真=西山和広)