首位マリノスを支える40歳の鉄人
中村俊輔がドゥトラを賞賛する理由
今シーズンもここまで25試合すべてに先発。2233分を数えるプレー時は、キャプテンのMF中村俊輔に次ぐチーム2位。現在は15試合連続でフル出場を継続中だ。 上位をうかがう5位のセレッソとの直接対決でチームに勝ち点1をもたらした、頼りになる「奇跡の40歳」の存在感を35歳の中村はこう絶賛する。 「身体もそうだけど、ドゥトラはメンタルのコンディションを常に整えているからね」 メンタルのコンディションとは何なのか。中村にもう少し詳しく説明してもらった。 「サッカーにすべてをかけている、という点かな。そうなると、おのずと日々の生活の中で『これはいらない』『あれもいらない』となる」 ひたすらストイックに。ピッチ上における自身のベストパフォーマンスから逆算して、いかに練習を含めた日常生活を大事にするかがカギを握る、というわけだ。 ドゥトラはアルコール類を口にしない。もっとも、決して飲めないわけではない。「もう16年ほど飲んでいないかな」と屈託なく笑う。 プロになって21年目。少しでも長く現役を続けられるように、との思いを込めて24歳に時にアルコールを断ったという。練習後にはマッサージだけでなく、下半身を氷水につけてケアを施すなど、たゆまぬ節制が衰えを知らないパフォーマンスの源泉となっている。 ドゥトラ自身も「無事是名馬」の秘訣をこう語る。 「なるべく普通に日々のトレーニングをすること。みんなと同じメニューでね。そして、試合を意識しながら日々、調整していくことだ」 当たり障りのないコメントのように聞こえるが、ピッチ外で「我欲」を封印しているからこそ、練習からベストの体調で臨めるわけだ。 セレッソ戦におけるマリノスの先発メンバーの平均年齢は31.09歳。周囲から「オッサン軍団」と揶揄され、開幕ダッシュに成功した際には「どうせすぐに息切れする」とも指摘されたが、40歳のドゥトラを筆頭に37歳のマルキーニョス、35歳の中村とDF中澤佑二らのベテラン勢がチームの揺るがない幹となり、首位の座をキープし続けている。