「ハマスを望まない」市民の本音と“戦後”ガザ統治のキーパーソンたち
誰がガザ地区を管理するのかという「エンドゲーム」が見えないうちは、再建・復興についての話も進まない(C)Rokas Tenys/shutterstock
2023年10月7日のハマスの奇襲攻撃は、ガザ市民の人生を大きく変えた。ガザ地区では2万5900人以上が犠牲となり、住宅の6割以上が破壊され、230万人の市民のうち170 万人が住む場所を追われ域内避難民(IDP:Internally Displaced Persons)となるという異常な事態となっている。 歴史的な経緯や、イスラエルによるガザの封鎖は別にすれば、現在進行中の軍事衝突自体は、10月7日のハマスによる複合的な奇襲攻撃によって始まった。ガザの市民は、今回の事態を引き起こしたハマスについてどう思っているのか。ある市民が匿名でその胸の内を明かした。 「まず初めに責められるべきは、イスラエルだ。オスロ合意を履行せず、2005年にはガザから撤退したものの、ガザを外側から封鎖し、イスラエルの許可がなければ私たちはどこにも移動ができないような状況になった。『天井のない監獄』に閉じ込められ、若者も大人も仕事がないような状況で、何が生まれるだろうか。10月7日の出来事はこんな状況に暮らす人たちからすれば、当然の反応だ。ただ、その次に非難されるべきはハマスだ。ハマスは、イスラエルとともに、17年間に亘って普通に暮らしたいと思う私たちを破壊し続けてきた。何かよくわからないもののために戦争が起き続けるのはもうたくさんだ」
本文:5,717文字
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曽我太一