【幸龍飯】今年のうちに食べ納めておきたいシリーズその2 大塚幸龍軒の名物「幸龍飯」:パリッコ『今週のハマりメシ』第166回
ホッピーセットでごきげんにのどを潤していると、すぐに中華スープと幸龍飯が到着。大きめのどんぶりにひたひたに餡(あん)が満ちていて、さらにその標高よりも高く玉子、そのうえに厚切りチャーシューがのっており、かなりインパクトのある見た目だ。 さっそくチャーシューをちょっとどけ、天津飯をざくりとれんげですくう。するとその空きスペースに周囲の餡がどどどと流れ込み、なんとも壮観。初手からエンタメ性の高い一品だ。 ごはんは炒飯とかではなくて白メシで、とろとろの餡は鶏ガラやにんにく、そしてごま油の風味などがベースと思われる、甘酸っぱさはない関西風。そういえばここ、一見老舗の町中華風の見た目ながら、大手チェーンの大阪王将がプロデュースしているんだったっけ。シンプルながらもしっかりインパクトもあって、かなり好きだ。 そして驚くのが、ふわっふわのたまごのボリューム。ごはんの上をたっぷり、数センチはあろうかという厚みで覆っていて、さらにそれとは少し食感の異なる、とろとろに崩れた玉子が餡にもたっぷりと混ざっている。一体何個ぶん使っているんだろう。ものすごく幸せな味だ......。 チャーシューはれんげでつつくだけでほろほろほどける柔らかさで、甘めの味つけだから、塩気寄りの餡との相性が抜群。少しずつ崩しつつ、全体を混ぜながら食べるのがたまらなすぎる。 と、幸龍飯の基本系をしっかりと味わって、残り半分くらいになったところで、「ホッピー(中)」(180円)を追加。ここからは、卓上の調味料を加えつつの自由演技タイムに突入だ! まずはコショウ。うんうん、当然間違いない。続いてラー油。お、ここのは花椒(ホアジャオ)がしっかりと効いた四川風か。うまいうまい。となれば、大きく味が変わってしまう可能性があるので様子を見つつ、中国の定番黒酢「鎮江香醋(ちんこうこうず)」を加えていってみよう。わー、ひと口目とはまったく別料理になってしまったけど、これまたうまいし楽しいぞ。 そしてまた、味変を加えつつ食べすすめるほどに強く感じられるようになってくるのが、白米のうまさ。それがしみじみと心に沁みて、最後までずっと幸せな気持ちが持続する。 と、想像以上に満足度の高かった、幸龍軒の幸龍飯。他にもたくさん気になるメニューを見つけてしまったし、来年も引き続きお世話になることになりそうだ。 そしてまた、読者のみなさまにおかれましても、来年も引き続き、「ハマりメシ」を何卒よろしくお願いいたします。それでは良いお年を~! 2024年もあっという間に年の瀬。今年もよく食べよく飲んだ。 取材・文・撮影/パリッコ
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