ザッカーバーグが大量のGPUを確保したのは、生成AIのためではなかった(海外)
メタがGPUを大量に入手したのは、生成AIツールを作るためではなく、アルゴリズムを変更するためだった。 マーク・ザッカーバーグCEOは念のため、メタが必要とするGPUの2倍を購入することにした。 「まだ見えない何かが差し迫ってきているという考えを、我々は基本原則としている」 メタ(Meta)のCEO兼共同創業者であるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は、2022年に大量のGPUを集め始めたが、それは生成AIに関連したものではなかった。むしろ、その頃まだメタバースに注力していたメタは、GPU(主にエヌビディア製)がランキングコンテンツ(検索結果上位に表示されるコンテンツ)や、リール(Reels)、インスタグラム(Instagram)、フェイスブック(Facebook)のアルゴリズムシステムの大きな変更に使われると考えていた。 このアルゴリズムは、ユーザーのフォローに基づくものから、「関連性のないコンテンツ」(ユーザーがアプリ全体を通して接触したコンテンツ)に基づくものを表示するシステムに変わった。これはティックトック(TikTok)によって有名になったアルゴリズムのスタイルで、一時期はメタのアプリよりも速く成長していた。 そこでザッカーバーグはGPUの購入を始め、アルゴリズムを変更し、関連するトレーニングのためのインフラを整備するようになった。リールが「ティックトックのやっていることに追いつく」ことができるようにするためだ。ザッカーバーグは2024年4月18日、ドゥワーケシュ・パテル(Dwarkesh Patel)のポッドキャストに出演し、AIチャットボットツールや「Llama 3」について語った際にそう述べていた。 「そのとき、AIのことを考えたかって?そうだな、大規模モデルのトレーニングに関係することになるとは思っていたが、当時はリールや他のコンテンツで『おすすめ』を機能させることに没頭していた。これは、ユーザーにとって興味深いコンテンツが、フォローすらしていないユーザーから流れてくるという機能で、フェイスブックやインスタグラムにとって、とても大きな鍵となるものなんだ」 OpenAIのChatGPTツールがテックシーンで爆発的に普及するまで、ザッカーバーグは生成AIを意識していなかったにもかかわらず、予期せぬ事態に備えるためにできることをした。モバイルへの移行、コンテンツの政治的操作、ショート動画など、これまでテクノロジーの変化に、ザッカーバーグは不意を突かれてきたが、もうそのような不愉快な驚きを味わいたくなかったのだという。 「(ティックトックに追いつく必要があることを感じながら)もう二度とこんな状況にならないようにしなければと思った。だから、リールやランキングコンテンツ、フィードでやるべきことを行うのに十分なGPUを注文しよう、いや、その2倍を注文しよう、ということになった。なぜなら、まだ見えない何かが差し迫ってきているという考えを、我々は基本原則としているからだ」 ザッカーバーグは、メタがGPUを必要とする可能性に備えてGPUへの投資を倍増させたことについて、「振り返ってみれば、正しい決断だった」としている。過去に多くの間違いを犯してきたからこその決断だった。 「(この決断は)後れを取っているという思いから来た。ずいぶん先を行っているぞと思っていたわけではない。実際にはほとんどの場合、うまくいったような決断をするのは、その前に何かを失敗して、同じ過ちを繰り返したくないと思ったときだと思う」
Kali Hays