なぜ大橋会長は井上尚弥の5.6東京ドームのネリ戦で100万円を超える高額チケットを売らなかったのか…最高額が22万円で最安値が1万1000円の2階席
なぜ大橋会長はチケット価格を抑えたのか。 「安いでしょう?タイソンから34年。物価指数の上昇なんかを考えると、もっと高くても良かったかもしれないが、あまりにも高額なチケットはボクシングファンに失礼。今回、東京ドームで開催した意味は、そこじゃないからね」 当初は、トリプル世界戦の方向だったが、ギリギリまで交渉していた元K-1王者で人気選手である武居の世界戦が加わった時点で、値上げも検討されたが、当初の方針を曲げなかった。 34年前のタイソンーダグラス戦は、最高額のチケットが15万円で最安値が5000円だった。確かに物価指数の上昇を考慮すると22万円は破格の安さだ。 井上の東京ドームでの試合が実現した理由を大橋会長は、こう説明していた。 「井上尚弥の存在、試合内容でしょう。それに尽きる。チケットの反響も違う。相手がネリというのも大きい。世界戦が3つ追加され、その影響も大きいと思う。ボクシング界のためにもなった。そこが一番嬉しい。やはりボクシングは神聖なもの。大橋ジム所属の日本人のボクサーが揃ってドームでできる。意味のあること」 パウンド・フォー・パウンドの井上がリードする形で、ボクシング界が空前の盛り上がりを見せている。Amazonプライムビデオ、NTTdocomo「Lemino」、U-NEXT、ABEMAと続々と配信サービスが参入して、興行と共に好カードが増えた。そのボクシング界をさらに発展させるための象徴が、今回の34年ぶりの東京ドーム興行。そこで高額チケットを売り出して金儲けに走っては何の意味もない。 これまでも井上のチケットは、超プラチナだった。有明アリーナの1万5000人のキャパに対して、常に10万人を超える応募があり“生モンスター”をすべてのファンに見てもらえないというジレンマがあった。今回、5万5000人を超えそうな東京ドームでも10万人はさばけないのだが、一人でも多くのファンに臨場感のある戦いを見てもらいたいとの思いがある。高額チケットを売り出さなかった理由は、そこに尽きる。 東京ドームは決してリングが見やすいわけではなく格闘技観戦には適さないとの指摘はある。だが、34年ぶりの歴史的な1日をその場で証人となって味わうことに格別な価値があるだろう。ネット上では早くも「抽選は殺到するだろうね」と心配する声があふれている。
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