じつは「若者のクルマ離れ」より深刻…「整備士不足」で事故を起こしても車が直らなくなる
国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。 【写真】じつは知らない、「低所得家庭の子ども」3人に1人が「体験ゼロ」の衝撃! ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
自動車業界の4大潮流
製造業においてはマーケットの変質も経営を揺さぶることになる。 例えば、戦後の日本経済を力強く牽引してきた自動車産業だ。 現在の自動車産業は、100年に1度の大変革期に見舞われている。それは「Connected(IoT化)」、「Autonomous(自動運転化)」、「Shared & Services(カーシェアリングの浸透)」、「Electric(EV(電気自動車)の浸透)」という業界の構造を根底から変える4大潮流の頭文字をとって「CASE」と表される。 政府がグリーン成長戦略で「2035年までに新車販売で電動車100%の実現」を国の方針として明記したこともあり、自動車産業や蓄電池産業は開発にしのぎを削っている。 政府は充電スタンドや水素ステーションの設置を急ピッチで進めようともしており、電動車への切り替えは進んでいくだろう。 自動車産業は輸出が大きな割合を占めるため、人口減少で各社の経営がただちに揺らぐことはないが、国内マーケット縮小の影響を受けないわけではない。内閣府の消費動向調査を基に、世帯主の年齢階層別の乗用車普及率を調べるとクルマの中心的な購入層は30代、40代だが、厚労省の人口動態統計の年間出生数を計算すると、30代前半だけでも今後30年で3割減る。これは大きな痛手であろう。 そうでなくとも、若者のクルマ離れが指摘されている。このため、最近では、若い世代にアピールしようとメーカー自らサブスクリプション(定額制サービス)に力を入れ始めている。ところが、自動車産業をめぐっては思わぬところにも落とし穴がある。