レーベンスティールが差し切り

［ＧⅡオールカマー＝２０２４年９月２２日（日）３歳上、中山競馬場・芝外２２００メートル］ 　２２日、中山競馬場で行われたＧⅡオールカマー（芝外２２００メートル＝１着馬に天皇賞・秋の優先出走権）は圧倒的１番人気に支持されたレーベンスティール（牡４・田中博）が直線インからの差し切り勝ちで重賞３勝目を手にした。過去１０年で２番目となる勝ち時計２分１１秒８（良）は立派だが、果たしてこの勝利の真の価値とは？　レース後の陣営コメントから同馬の可能性を探る。 　１０００メートル通過６１秒０という想定外のスローペース。「スタートは上手ですから、すぐいいポジションを取れました」という一方で「２２００メートルで、休み明けだったので引っかかりました」と鞍上のルメールも決してスムーズな道中ではなかったことを伝えた。だが、そこはさすが百戦錬磨の名手。何とかなだめすかして馬のリズムを取り戻すと、４角で先頭を射程圏に。直線ではインに進路を取り、しっかりと脚を延ばして逃げ粘るアウスヴァールを半馬身差し切った。 　上位４頭の４角通過順は［４］［１］［２］［３］。レーベンスティールがいなければ文字通り〝行った行った〟の決着となった可能性も。田中博調教師も「スタートから４コーナー回ってからもヒヤヒヤしましたが、ジョッキーがあそこ（イン）を選択してくれて…。難しい展開になった中でジョッキーの騎乗に助けられました」と鞍上に最敬礼だ。 　ただそんな「鞍上の手腕」が勝利をサポートしたのは事実だが、それだけを勝因とするのは危険だろう。この日も折り合いを欠くシーンがあったように指揮官にとっては「中山二二は合っている舞台とは思っていないので、セントライト記念（１着）の時もそうでしたがよくこなしてくれたなという印象」であり、決してベストではない中での勝利だったのだから。そして「東京の千八、二千というのはすごいパフォーマンスを出せる舞台なので」とエプソムＣを快勝し、さらには天皇賞・秋というビッグレースの設定条件こそが理想だと続けた。 　今では現役唯一の母父トウカイテイオーの平地ＯＰ馬でファンも多い血統。その身にかかる期待も大きい。８着に惨敗した昨年の香港ヴァーズ以来となるＧⅠ挑戦に向けて鞍上も「パワーアップしました。ＧⅠへ行けると思います」と太鼓判。最適ではない舞台での快勝劇、過去１０年で２番手の好時計、そしてリーディングジョッキーのお墨付き…確かな成長と実力を裏付ける要素がこれだけ揃ったならば、多くの人々が夢をはせるＧⅠ獲りもはっきりと視界に入ってきた。