久光製薬が女王奪還 バレー・プレミアリーグ2季ぶり優勝
新鍋「久美さんの言葉に救われた」
中田監督は選手に寄り添った。波があり思うようにプレーできないでいる石井を個別に呼んで何度も話をした。話は深夜にまで及ぶこともあった。新鍋や長岡らにも言葉をかけた。「久美さんの言葉に救われた」「普段や試合中にも前向きな言葉をかけてもらって、また頑張ろうと思えた」と石井や新鍋は言った。 「チームを固めなければならない一番大事なときに一緒にいられなかったことが自分の中でひっかかっている、本当に申し訳なかった」と苦戦の原因についてそう振り返り会見で涙を流した中田監督。不在だった時間や選手、チームとの距離を監督なりに埋めようとしているかのようにも見えた。「選手の目は死んでなかった、だから最後まで諦めずに戦おう」。 原点に戻った久光。「もう負けられない」岡山戦では表情も変わった。そしてストレート勝ち、続く最終の東レにも勝ち2連勝で絶対条件の6ポイントをきっちり獲得した。これまで上がらなかったボールが上がる、つながる。みんなの思いや望みもつながって他力ながら「ファイナル3」へ。 その「ファイナル3」は、2週連続の対戦となった東レとフルセットに及ぶ激闘になったが、劣勢やギリギリのところでも、もう久光はチームとして崩れることもバラバラになることもなかった。
石井がサーブで攻め、流れを呼び込んだ
決勝の日立戦でも1セットを先取され、2セット目も7-9とリードされてしまっても落ち着いていた。強気だった。ブロックされた石井がアタックを決め返し8-9、そこから今度は自ら強気のサーブで攻める。 久光のサーブ&ブロックが機能し始め、12-9と逆転、流れは一気に久光に。そのセットを奪い、セットをタイに戻したあとの3セット目の頭からはエース長岡で押し、サイドに速い展開。レギュラーラウンドやファイナル6で日立に敗れた際には数字を挙げられなかったサイドの2人、新鍋がブロックを弾き、石井が力強く攻撃を叩き込んだ。これぞまさしく「久光のやりたいテンポのバレー」。第4セットは課題といわれ続けたミドルもうまく絡め、25-17と日立を圧倒した。 リーグを通してサーブで狙われ続けた石井。サーブレシーブの受数は1203本にもなった。「私が崩れなければチームは勝てると思って、ミスしても耐えながら1本目に集中してきた」。そんな石井の姿に「ユキ(石井)が頑張っている、だから絶対決めてやるんだという思いが強くなった」と長岡。パスが乱れ苦しいトスになった場面でも前後から何度も決めピンチを救った。「みんながカバーしてくれて心強かった」と石井。