特定利用空港・港湾の受け入れを表明する塩田康一知事＝２３日、鹿児島県庁

　鹿児島県の塩田康一知事は２３日の定例会見で、防衛力強化の一環として有事の際に自衛隊や海上保安庁の利用に備えて整備する「特定利用空港・港湾」について、国が候補とする鹿児島県内の２空港、６港湾の指定を受け入れると表明した。８カ所が指定された場合、都道府県別で最多。 【写真】〈関連〉鹿児島県内特定空港・港湾の候補施設の位置を地図で確認する

　対象は、鹿児島空港（霧島市）、徳之島空港（天城町）、鹿児島港（鹿児島市）、川内港（薩摩川内市）、志布志港（志布志市）、西之表港（西之表市）名瀬港、（奄美市）、和泊港（和泊町）。国管理の鹿児島空港以外は県が管理する。 　１４日に国から指定に向けた確認事項の申し入れがあり、県は２３日に回答。併せて、「民生利用を主とすることの順守」など５項目を要望した。 　塩田康一知事は（１）従来の運用と変わらず、民生利用が主な目的（２）災害時の迅速な対応が期待できる（３）必要なインフラ整備が着実にされる－などを受諾の理由とした。「（指定の枠組みで）米軍の利用は含まれない」と強調した。 　特定利用空港・港湾を巡っては、有事の際に攻撃目標になりかねないとの指摘もある。塩田知事は攻撃対象となるリスクは「指定によって大きく変わることはない」との認識を示した。 　県港湾空港課によると、国から申し出があった昨年１１月以降、目的や利用法など不明点を確認。５月までに説明を受けた該当市町から異論はなかったという。

　内閣官房によると、自衛隊や海保が民間の空港・港湾を平素から円滑に利用するため、自治体などの施設管理者と確認書を交わす。これまでは利用するたびに一から調整していた。選ばれた施設は国民保護や訓練拠点とするため滑走路延長や港の岸壁整備を促進する。政府は４月、北海道や沖縄など７道県の１６カ所を指定している。