シンガポールで「ガム」はご法度? 持ち込みは罰金1千万円以上ってマジ? 超シビアなルールを調査
国が変われば、守るべきルールや法律は変わります。日本で許されていることが、海外では禁止とされており戸惑う……なんてことは“海外旅行あるある”ですよね。今回注目したのは、日本人の旅行先として人気のあるシンガポール。特に生活に関するルールが厳しく、「公共の場所では全面的に禁煙」「ポイ捨てした場合は罰金」などは知る人も多いのでは。ですが、「ガムの持ち込みや販売は禁止」という規則まで存在していることはご存知でしたか? 同国在住で現地の文化に詳しいAさんに“ガム事情”について聞いてみました。 「本物の警察官のコスプレをする」「マッチングアプリで医者と偽る」←犯罪になる可能性も! ☆☆☆☆ 同国におけるガムの販売の禁止は、1992年に食品販売法のもと「チューイングガム禁止規則」として発効されました。そして1995年、輸出入規制法のもとに新規制定された規則で輸入も禁止に。現在でも入国する際には、基本的にガムの持ち込みは禁止されています(マレーシア半島への輸送トランジットまたは乗り換え時に申告した場合など、例外はあり)。制定当初は種類を問わず、植物性または合成由来の原材料から作られた全てのガムを対象としていたそう。2004年3月でようやく部分的に解除されたものの、ニコチンガムや口腔用歯科ガムなど医療目的で使用されるガムのみOKという、依然として厳しい規則のままなのだとか。 さて、規則を破った場合には一体どんなペナルティが課せられるのでしょうか? 「ガムの販売と広告活動で有罪となった者には最高2000シンガポールドルの罰金が科せられます。さらにガムの持ち込みや所持で有罪となった者は、初犯であれば最高10万シンガポールドルの罰金または2年以下の懲役、もしくはその両方が科せられます。2度目以降は最高20万シンガポールドルの罰金または3年以下の懲役、もしくはその両方が科せられます」とAさんは説明。日本では当たり前のように販売されているガムですが、シンガポールにおいては取り扱うこと自体が「有罪」に……。 ここまで厳しく取り締まる理由は何なのかAさんに聞くと、「使用済みのガムが捨てられることで、映画館や住宅地などの公共エリアの清掃に問題が生まれていたそうです。また、1991年の夏には列車のドア間に挟まったガムが原因でドアが完全に閉まらず列車が停止し、多数の乗客に影響が出るという事件が続きました。この事件がきっかけとなり、同年12月に環境省が『ガムの投棄が相次いだことで列車の円滑な運行が妨げられている』と声明を発表、そして現在に至ります」という回答が。また、同国の「住宅開発庁(HDB)」のデータによると、規則が施行される以前はHDB運営の住宅団地の床と壁に付着したガムを除去するため毎年約15万シンガポールドルが費やされていたそう。ちなみにこの額を日本円に換算すると、約1653万円に相当します。 厳しい内容の法律が施行された翌年以降、ガムのポイ捨て件数は大幅に減少しました。1992年には1日約525件だったのに対し、1993年にはなんと1日2件に。劇的に効果があったことがわかります。 Aさんいわく「現在も街中で、ガムのポイ捨てや落ちているガムを見かけることはありません」とのことでした。 ※1シンガポールドル=110.21円(2024年8月8日18時50分時点)で計算 (取材・文=つちだ四郎)
ラジオ関西