竜王戦第4局、大阪・茨木は歓迎ムード一色…前夜祭に藤井竜王・佐々木八段登場で市民興奮「オーラ感じた」
積年の悲願に感無量
茨木市で将棋のタイトル戦が開かれるのは、今回の竜王戦が初めてだ。地元の将棋ファンにとって竜王戦は積年の悲願。日本将棋連盟茨木支部の関係者たちに、実現までの道のりを聞いた。
茨木対局誘致の原点と挙げるのが、1999年に初開催された「少年少女将棋大会」。当時の茨木には中高年の将棋クラブはあったが、子どもが集まって将棋を指す場はなかったという。
そんな中、市内で囲碁大会が開かれたことに触発され、茨木オークライオンズクラブが同大会を企画した。予想を上回る約120人の子どもたちが参加し、現在まで続く恒例行事となった。
同支部長の村上幸隆さん(69)は「大会が茨木の将棋文化が醸成されるきっかけになった」と振り返る。子ども向けの将棋教室が開校するなど、将棋の裾野が広がった。市出身の宮本広志五段が2014年にプロ棋士になったのを機に、大会の運営メンバーらが中心となって連盟支部を設立した。
将棋ファンや関係者の間で、「茨木でタイトル戦を」と願う機運が徐々に高まった。21年2月、連盟支部が福岡洋一市長に誘致を打診。ちょうど、今回の会場となる「おにクル」の整備が進み、隣接する高槻市に関西将棋会館の移転が決まるなど、環境が整った。
市民の願いを背に、茨木市は誘致活動を本格化。今年5月、茨木対局が正式に決定した。村上さんは「茨木で将棋を愛する人たちの活動が認められてうれしい」と感無量の様子。同副支部長の岡田藤男さん(74)も「立場や年代を超え、たくさんの人々と盛り上がる茨木を見たい」と開催を喜んだ。