市場の関心はEVや中国だが…「骨太の方針2024」で関連株は動くのか(中西文行)
【経済ニュースの核心】 電気自動車(EV)メーカー「テスラ」の株主総会が6月13日に開催され、約560億ドル(約8兆8000億円)に上るイーロン・マスク最高経営責任者の報酬パッケージを承認した。マスク氏はスペースXやX(旧ツイッター)など計6社を経営、そこからも報酬を受け取るだろうから、総報酬は10兆円超となるかもしれない。 トヨタ会長「不正撲滅は無理」の波紋…株価下落の背景に「日本のものづくり」への疑問や不信 テスラは米株価指数の史上最高値に寄与した。日本は、成長戦略の土台たる「骨太の方針」を毎年策定している。小泉政権時の2001年6月に答申された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」として発表されたのが始まりで、現在は「経済財政運営と改革の基本方針」(通称:骨太の方針)と呼ばれ、6月11日に24年の草案が明らかになった。 2001年の「骨太の方針」以降の日本の実質GDP成長率は、23年まで0~2%の間が多く、08年、09年、19年、20年はマイナス成長を記録、24年もIMF(24年4月時点)によれば0.86%成長である。 中国の「製造強国2025」が目指すのは建国100年の49年までに自ら高い技術力を生み出し世界のイノベーションを先導すること。 日本経済新聞社が実施した22年の世界市場における「主要商品・サービスシェア調査」63品目(日経業界地図2024年版)では、日本企業の市場シェアトップは6品目だが、中国は16品目と急速に伸ばしている。 中国の自動車メーカー、BYDは5月下旬に過去最高の燃費性能を実現した第5世代プラグインハイブリッド技術を公表。ガソリン走行の燃費は1リットル当たり約34キロ、フル充電でガソリンも満タンにした時の航続距離は2100キロと発表した。 また、中国は単独で宇宙ステーションを建設し、月探査機「嫦娥6号」が月の裏側へ着陸するという歴史的偉業を達成した。 日本では「骨太の方針」の草案を受けて、岸田政権への経済成長期待が高まるだろうか。 国政選挙の前哨戦ともいえる東京都知事選挙は6月20日告示、7月7日投開票である。岸田首相は応援演説に駆けつけるだろうか。外は猛暑でも投資家が冷めているなら、株式市場でEVに代わる「骨太の方針」関連株は値上がりしないだろう。 (中西文行/「ロータス投資研究所」代表)