センバツ2023 戦力分析/上 北陸 切れ目のない打線 冬の体作りで打球にパワー /石川
18日に開幕する第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に向けて、調整を進める北陸ナイン。34年ぶりの挑戦に、「北陸旋風を巻き起こす」と意気込むチームの特徴を紹介する。 チームの大黒柱・右腕エースの友広陸投手(2年)は、185センチの長身から投げる直球と3種の変化球を武器に、昨秋の公式戦11試合すべてに登板。62回余りを投げ57三振を奪った。秋から体重を3~4キロ増やし、球速が最速139キロから141キロに伸びた。変化球のコントロールも好調だ。精神面も「憧れの舞台。緊張よりもワクワクする気持ちが大きい」と気負いがない。2番手は、昨秋に急成長し、北信越大会決勝と明治神宮大会準決勝で先発した右腕・竹田海士(かいし)投手(1年)が控える。直球のキレに磨きをかけており、頼もしい存在だ。 投手陣を好リードで支える平田海智捕手(2年)は、2月中旬から足のケガで約2週間練習を休んだが3月初旬に復帰。友広投手は「今まで通り、配球も良い感じで問題がない」と信頼を寄せる。 打線は、上位から下位まで切れ目がない。1番の水野伸星選手(1年)は高い出塁率と4割超の打率でチームを勢いづける。中軸は秋の公式戦で2桁安打を放ち、長打力のある友広投手と平田捕手が担う。さらに、逆方向への強い打球が持ち味の児玉知(ち)駿(はや)選手(2年)、小技でつなぐ中浦進(しん)優(ゆう)選手(同)、バットコントロールのセンスが光る小矢宙(そら)歌(た)選手(1年)、積極的な走塁を見せる小南亮太選手(2年)らが好機を作る。 チームは2月から実戦を想定した練習を増やし、今月4~8日に徳島県阿南市に遠征した。現地の高校と練習試合を重ね、結果は2勝2敗。福井に帰県後は、石川の強豪・小松大谷との練習試合で勝ち星を挙げており、徐々に調子を上げている。 笹井多輝(たき)主将(2年)は「練習試合では、冬の体作りの結果が出て打球にパワーが出ていると感じたが、守備に課題が残った。センバツまでに修正したい」と気を引き締める。林孝臣監督(40)は初戦で戦う高知(高知)について、「2年連続で甲子園に出ており、走者をきっちり送るなど、勝ち方を知っているチーム。我々は自分たちの野球を貫く。ロースコアに持ち込み、粘り強く戦いたい」と話した。【国本ようこ】 ◇ ◇ 間近に迫った甲子園初戦を前に、出場する北陸勢各校の状態をリポートする。 ◇気負わず打席集中を 先代チーム 双子OBがエール 卒業式を翌日に控えた2月28日。室内練習場で開かれた部のお別れ会で、拍手と笑顔に囲まれ、後輩に送られる先代チームの姿があった。 昨夏の福井大会決勝で、北陸は敦賀気比に4―8で敗れ、あと一歩で甲子園出場を逃した。当時の主将・矢納圭悟さん(18)は三塁コーチ、双子の弟・弘也さん(18)は4番打者を務め、兄弟でチームを引っ張っていた。 林孝臣監督が就任した翌年の2020年4月に入学し、監督と共に現在の北陸の土台を作った世代。それだけに、夏の負けは「喪失感でいっぱいになった」(圭悟さん)、「自分が好機で打てていれば勝てたかもしれないと悔しかった」(弘也さん)と振り返る。 だからこそ、センバツに出場する後輩には、圭悟さんは「特別な場所だけど、気負わず一打席に集中してほしい」、弘也さんも「守備から攻撃につなげる野球を徹底して、がんばってきてほしい」とエールを送る。 圭悟さんは中部大、弘也さんは関西国際大にそれぞれ進み、大学でも野球を続ける。圭悟さんは「今後も夢は甲子園に出ること。指導者になって連れて行く、または自分の息子に託すなど、人生をかけてかなえたい」と笑った。【国本ようこ】