アジアのドル建てジャンク債、際立つパフォーマンス-好調持続予想も
(ブルームバーグ): 今年の債券市場でアジアのドル建てジャンク債はほぼ、どの分野よりも高いパフォーマンスを記録している。ティー・ロウ・プライス・グループをはじめとする運用会社は好調さがさらに持続するとみている。
ブルームバーグの指数によると、年初来リターンは世界の投機的水準の債券でプラス約3%にとどまり、高格付け債の多くはマイナスとなっているのに対し、アジアのドル建てジャンク債はプラス9.8%。こうしたアウトパフォームの一因は、中国当局が前例のない不動産不況からの脱却に向けた措置に注力する中で、同国のジャンク債が記録的な低水準から回復したことだ。
世界のジャンク債は今年の大半の期間について、格付けが比較的高い債券をアウトパフォームしている。先週は米国債利回りの低下で債券市場全体が押し上げられたとはいえ、根強いインフレが米国を中心に多くの国での利下げを阻んでいる。
アジアの投機的水準のドル建て債は、中国の不動産開発業者が発行したドル債の記録的なデフォルト(債務不履行)を受けて世界の同種の債券に後れを取ってきたことから、特にリターンが急上昇してる。
ティー・ロウ・プライスのダイナミック新興国市場債券市場戦略担当ポートフォリオマネジャー、レオナード・クワン氏は、「アジアを含め引き続き高利回りに魅力がある」とした上で、こうしたアジア債は「魅力的なオールイン利回り、短めのデュレーションという特徴があるほか、中国やインドの安定的で堅調な成長見通しの影響を受けている」との分析を示した。
現時点で中国のジャンク債に占める不動産業界の発行分は大きく低下している。コロナ禍前に始まった政府の規制強化が記録的なデフォルトを引き起こすまで同業界は一時、アジアの投機的水準の債券で最大の発行体だった。ブルームバーグの指数によれば、中国のジャンク債は2021-23年に累計50%の損失を投資家にもたらした後、今年は約9.7%のプラスのリターンを上げている。