「最後までチームに貢献できる投球を」。カープ・大瀬良大地が後輩に示す『道標』としての姿
プロ11年目となる今シーズン、史上90人目の『ノーヒット・ノーラン』を達成した大瀬良大地。投手陣の中心的存在としてチームをけん引する右腕が、自身が球団史に刻んだ偉大な『記録』と『数字』を振り返る。(※数字は8月7日時点) 【写真】日米通算203勝を挙げ、『野球殿堂入り』を果たした黒田博樹 ◆ノーヒットノーランの偉業を達成。大瀬良が語る周囲への思いとは ─2024年6月7日のロッテ戦(マツダ スタジアム)では、ノーヒットノーランという大記録を達成されました。現在の実感はいかがですか? 「今は言われて思い出すくらいの感じにはなりました。ただ、ありがたいことに達成直後は反響がすごかったですね(笑)」 ─改めて、ノーヒットノーランを達成できた要因を聞かせてください。 「特別調子が良かったわけではないですが、ストレート、カットボール、シュート、フォーク、カーブ、スライダー、全て平均点よりも少し高い水準でストライクゾーンに投げ込んで勝負出来たという事ですね。あとは的を絞らせず、相手に気持ち良くスイングをさせなかったことがポイントだと思います」 ─9回のマウンドはどんな思いでしたか? 「いつも9回のマウンドに上がるときには盛り上がりますが、比べ物にならないくらいの緊張感と大声援でした。『さすがにここで打たれたら……』という思いでしたし『ここまで来たら達成したい』といういう気持ちでした。達成した瞬間はみんながマウンドに駆け寄ってくれて、まるで優勝した瞬間のようで、3連覇時の懐かしい感じもありました」 ─ノーヒットノーランを挟んで7月6日(対中日・バンテリンドーム)まで、37回1/3イニング連続無失点を記録されました。 「気づいたらその数字になっていて、記事で取り上げていただくようになってから、『いつ点を取られるかな……』と思っていましたし『取り上げられたら打たれるかな……』とも、思ってもいました(苦笑)。その期間、カープの先輩や(今村)猛の記録(2012年にリリーフで29試合連続・34イニング連続無失点)も記事に出ていましたが、僕が頑張ることでそういう方々に喜んでもらえるならばうれしいことですね。ただ、佐々岡(真司)さん(1991年に30イニング連続無失点)は負けず嫌いなので、『ワシの記録を抜きやがって』と仰るかもしれませんね(笑)」 ─今季は復活を印象づけるシーズンとなりました。 「少し前はメディアのみなさんから『エース』という表現をしていただいて、そういう意識が強かったです。ですが、今年に関しては先発陣がみんな良いですし、そういう事は良い意味で考えていないですね。ただ、年齢的には上になるので、立ち居振る舞いは若手選手に対して、良い見本でいなければならないと思っています。今の若い選手が僕の年齢になったときに、良い道標になっていたら良いなと、思っています。先輩方からも『普通にやっていれば悪い見本にはならないから』と言っていただいているので、後輩たちに特別良いものを見せようだとかではなく、普通に野球人としての僕の姿を見てもらえれば、と思っています」 ─プライベートでは、ご自身の誕生日である6月17日に第二子(長女)が誕生されました。おめでとうございます。 「ありがとうございます。もともとの予定日が違っていたんですけど少し早まって、たまたま6月17日に生まれました。なかなか自分と同じ誕生日に子どもが生まれるなんて経験もできないと思いますし、すごくうれしかったですね。家族も増えて『もっと頑張らないとな』という気持ちがありますし、モチベーションもより上がっています」
広島アスリートマガジン編集部