「私は悪のネットワークに狙われている!」クリスマスマーケット襲撃犯がメディアに語った“陰謀論”─なぜドイツへ怒りを向けたのか
「自分は強硬な反イスラムだ」 12月20日に、ドイツ東部マグデブルクのクリスマスマーケットに車が突っ込み、5人が死亡、200人以上が負傷した事件。逮捕されたタレブ・アル・アブドルモーセンがサウジアラビア出身だったことから、ドイツのみならず世界中で、移民や難民の受け入れに対する議論が加熱する事態となっている。 【画像】凄惨さを物語る襲撃現場 ドイツでは過去にも、イスラム過激派に影響されたとされる人物がクリスマスマーケットにトラックで突っ込む事件(2016年)や、フェスティバルの来場者を無差別に刃物で襲う事件(2024年8月)などが起こっている。移民や難民として入国したものの、ドイツ社会にうまく溶け込めずに不満を募らせた人につけ込む形で、イスラム過激派がテロリストのリクルートをおこなっている危険性がたびたび指摘されてきた。 しかし今回の事件は、容疑者がイスラム圏出身の移民でありながら、自らを「反イスラム」と公言していた点で事情が異なる。 独紙「フランクフルター・アルゲマイネ」によると、彼はサウジアラビアにいた20代前半のときにイスラム教に背を向け、以後「イスラム教がいかに害悪か」を訴えていたという。ドイツに来てからは、移民に否定的な政党を支持し、ドイツ社会に溶け込む気のない移民に対する批判を繰り返していた容疑者は今回、なぜか攻撃の矛先をドイツに向けることとなった。 犯行の直接の動機はまだ判明していないものの、2023年10月にアブドルモーセンに話を聞いた独紙「ツァイト」の記者は、当時の彼の言動にそのヒントを見出している。犯行の1年前、彼は何を語ったのか。
COURRiER Japon