『ライオンの隠れ家』第8話©TBS

ドラマ『ライオンの隠れ家』（TBS系）が放送中。本作は、主演の柳楽優弥＆坂東龍汰演じる兄弟の前に、謎の少年「ライオン」が現れたことで、2人の生活が一変していくことになる。家族愛や兄弟愛の変化を描く愛と絆の物語だ。今回は、第8話のレビューをお届け。（文・あまのさき）【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】尾野真千子＆佐藤大空の再会に号泣必至…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『ライオンの隠れ家』劇中カット一覧

愛生（尾野真千子）とライオン＝愁人（佐藤大空）の再会

証拠不十分で愛生（尾野真千子）が釈放される。本来であれば家族である祥吾（向井理）へ身柄が引き渡されるのだろうが、週刊誌記者からフリーの記者へと転身した工藤（桜井ユキ）が愛生と面会し、柚留木（岡山天音）と落ち合えるように働きかけた。 　それを手伝った高田（柿澤勇人）は、愛生が祥吾によるDVを訴えない限り自分たちは何もできないことに無力感を抱いていた。高田の髪の毛をわしゃわしゃする工藤と一緒に、「いい刑事だ」と思った視聴者も多かったことだろう。 　柚留木の手助けにより、愛生はついに佐渡へとやって来る。フェリー乗り場に現れた暗い表情から一転、洸人（柳楽優弥）の姿を見つけると笑顔が浮かんだ。愛生に対して複雑な感情を抱いている洸人に対して、愛生はかつてのような奔放さを見せる。 　愛生とライオン＝愁人（佐藤大空）の再会は、今作屈指の名シーンといって差し支えないだろう。半信半疑で「ママ…？」と問う愁人の声。駆け寄って、これまでの出来事を早口にまくし立てる様子からは、母親に会えた喜びが溢れ出していた。 　愛生は愁人の話に頷きながら、笑顔で涙を流す。優しさの滲む、これぞ“母親”の表情。「6歳になったんだよ（愁人）」「髪切ったんだ、かっこいいね（愛生）」という言葉の選び方まで含めて、とてもいいシーンだった。

美路人（坂東龍汰）と愛生のわだかまり

　美路人（坂東龍汰）は愛生に対し“怖いお姉ちゃん”というイメージを持っていたため最初は警戒していたが、絵を褒められたことで一気に距離が縮まる。良かれと思って美路人のカレーに唐揚げをのせてしまったように、愛生は「これ」と思ったら体が動くタイプなのだろう。それがかつての美路人には怖く感じられたが、真っすぐな愛生の褒め言葉に嘘がないことがきちんと伝わったようだ。 　一方の洸人は釈然としていなかった。それは、なんの連絡もよこさずいきなり愁人を預けられたことで、やっとの思いでたどり着いた美路人との平穏な暮らしを壊されたことへの困惑もあるが、何より愁人のことを思ってのことだった。突然母親がいなくなり、見ず知らずの人の家で過ごす日々がいかに不安だったかと訴える。 「勝手」という言葉が引っ掛かったのだろう、愛生は次の日にはこの家を出て行くと言い出す。柚留木による偽装戸籍の準備も整った。 　愛生と愁人には何にも脅かされない生活をしてほしいと思う。しかし、悪いことをしていないのに、なぜ愛生たちがこそこそ隠れて暮らさなきゃならないのだろう、という疑問が拭えない。悔しい。そんなの間違ってる。 　愁人との別れを知った美路人は、本来であれば仕事をしているべき時間に、鬼ごっこをすることを選ぶ。残された時間で悔いが残らないように。ルーティンを変更することができるようになったのは、愁人との時間によって美路人が変化した部分だ。 　洸人、美路人、愁人の3人で鬼ごっこをする様子は、本当に楽しそうだった。家のなかから見ていた愛生も穏やかにほほ笑む。こんな時間がずっとずっと続けばいいのに。