日米豪印の海保当局、東京湾で1月に初訓練…日米比でも3月に日本近海で計画
海上保安庁と米国、オーストラリア、インドの海上保安当局が来年1月、初の4か国訓練を東京湾・横浜港周辺で実施することがわかった。3月には日米とフィリピンが、鹿児島沖で合同訓練を計画していることも判明。中国が東・南シナ海やインド太平洋で威圧的な動きを強める中、周辺国の海保当局で連携し、「法の支配」に基づく海洋秩序の維持・強化を図る。 【写真】9月に集まった日米豪印の首脳
関係国筋が明らかにした。日米豪印は「Quad(クアッド)」と呼ばれる枠組みの下、海洋安全保障を主要テーマの一つに協力を深めてきた。来年には各海保当局の巡視船に職員を同乗させ、インド太平洋をパトロールする共同任務を始める。東南・南アジア諸国や太平洋島嶼(とうしょ)国への法執行の能力向上支援などを調整する「インド太平洋 海洋トレーニング・イニシアチブ」も設置する。
日米豪印海保で初めての連携訓練は来月8日から、印沿岸警備隊のパラメーシュ・シバマニ長官初来日と大型巡視船の横浜来港に合わせて行う。米沿岸警備隊、豪国境警備隊とともに油・有害物質の防除訓練などを通じて互いの業務手法を確認し、インド太平洋での共同任務につなげる。
一方、日米比の海保当局による合同訓練は、昨年6月に南シナ海に近い比北部の海域で実施して以来2度目で、日本近海では初めて。比沿岸警備隊を含む3か国の巡視船が来年3月、鹿児島湾内外に集まり、海上での捜索救助訓練などを通じて相互運用性を高める。
鹿児島県沖の大隅海峡では、中国の公船や軍艦が通過を繰り返している。同隊関係者によると、比側の巡視船は訓練参加に合わせて日本国内でメンテナンスも予定している。
中国の強引な海洋進出を背景に、海保は近年、「ミニラテラル」と呼ばれる少数国の枠組みで重層的に連携し、海洋秩序の安定化を目指している。今年6月には日米韓の海保当局で初めての海上合同訓練を京都・舞鶴沖で実施した。
これに対し、沖縄県・尖閣諸島で対峙(たいじ)する中国海警局も、台湾周辺で海軍の演習に参加。9~10月には北太平洋などでロシア国境警備隊と共同パトロールを行い、初めて北極海へ海警船を展開するなど、中露の結束を誇示する動きを見せている。