参議院選挙の勝利と安倍内閣の今後の課題
景気を回復軌道に乗せられるか
それでは首相にとっての今後の課題は何か。内政にしぼって簡単に触れたい。これまで首相はいわゆる三本の矢「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を掲げて、景気回復に取り組んできた。政権発足後、経済状況は回復しつつある。例えば、今年1月から3月にかけてのGDP成長率は年率換算で4.1%と高い数字になっている。 やはり課題は景気を回復軌道に乗せられるかどうかであろう。先に紹介した世論調査では景気回復を実感していないという回答も目立つ。今回の参議院選挙で多くの国民は内閣の経済政策を支持するとともに、景気回復を期待して自民党に一票を投じたと考えられる。 日本銀行はすでに大幅な金融緩和政策に踏み込んでいる。厳しい財政状況を考えるとこれ以上の財政出動も難しい。そこで注目されているのが「成長戦略」である。安倍首相はすでに秋にも6月に発表したものに続く、第2弾の成長戦略をとりまとめる方針を打ち出している。 焦点はこの中に安倍首相の「経済再生」へのコミットメントを象徴するような政策を盛り込めるかどうかである。自民党はすでに参院選において法人税減税を公約した。競争力会議では首都圏空港の大幅な機能強化、医療規制、農業規制などさまざまな規制の緩和を特例的に認める特区構想などがすでに議論されている。ただ、規制緩和の試み、さらに国の一部の地域に公共投資を重点的に行うに一見見えてしまう政策には、党内からの反発も予想される。 安倍首相には反発が出た場合にも、これを乗り越えて充実した成長戦略を立案してくれることを一国民として願っている。