少子化の原因? 子育て世代の夫はどのくらい長時間労働なのか
総務省が2016(平成28)年10月発表した平成27年国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、初の減少に転じた日本の総人口。厚生労働省がまとめる人口動態統計の年間推計でも2016年に生まれた子どもの数が1899(明治32)年の統計開始以来、初めて100万人を割り、98万1000人にとどまる見通しであることが明らかになりました。 人口減少に転じた大きな原因として挙げられる深刻な少子化。そして少子化が進行した背景に日本の労働時間の長さが指摘されています。平成28年版少子化対策白書(内閣府)から、男性の就業時間を年齢別に比べてみます。
30~40歳代の長時間労働の割合が最も高い
白書によると、週60時間以上の長時間労働をしている男性は、2005(平成17)年以降、ほぼ減少傾向になっています。1990(同2)年は、30~40歳代の3割弱が60時間以上の長時間労働に就いていました。しかし、子育て世代であるこの30~40歳代男性の労働時間が世代別でみて、最も高いという特徴に変化はありません。2015(平成27)年も40歳代16.6%、30歳代16.0%で、全平均の12.9%よりも3%以上、またどの年代よりも長時間働いているという実態がわかります。
先進国最低水準 夫の家事・育児参加
一方で、男性は家事や育児には、どのくらい参加しているのでしょうか?6歳未満の子どもを持つ夫の家事・育児関連時間を、他国と比較してみます。日本では、夫の家事関連時間は1日に1時間7分、育児は同39分です。これは先進国の中で最低水準です。 ちなみに、最も家事に取り組むスウェーデンの夫は1日に3時間21分、そのうち育児に1時間7分当てていました。育児を担当する時間が最も長かったのは米国の夫で、家事の時間は1日に2時間58分、育児は1時間17分でした。
出産後も変わらず就業できた女性は約4割
女性は、出産で働き方にどのような変化があるのでしょう。2005(同17)年から2009(同21)年に第1子を出産した既婚女性で、出産前に働いていた女性のうち、出産後もその仕事を継続した女性は約4割にとどまっていました。また、妊娠・出産前後で退職した場合の理由は「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」が26.1%と最も多く、出産により、女性が働き続けることが厳しくなる状況がうかがえます。(資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究」厚労省委託、2008年=平成28年版少子化対策白書より) 日本でも育児に関わる父親「イクメン」が増えてきていますが、男女ともに長時間の労働が、家事や育児に関わる時間の確保を難しくしているといえそうです。