フセイン政権崩壊10年 イラクは今どうなってるの?
これに加えて、シリアからの影響も見過ごせません。2011年から内戦が続くシリアでは、国際テロ組織アル・カイダが活動していますが、そのほとんどがスンニ派です。この一部がイラクに流入しているとみられ、今年9月に北部で起きた自爆テロでは、アル・カイダ系の「イラク・レバントのイスラーム国」が犯行声明を出しています。
オバマ米大統領に軍事支援を要請
内戦の危機に直面するマーリキー首相は、11月1日のオバマ大統領との会談で軍事支援を要請。しかし、会談後の記者会見で、オバマ大統領は治安回復の重要性を強調しながらも、具体的な支援については言及しませんでした。 この背景には、マーリキー政権がスンニ派を排除することへの懸念があるとみられます。一方で、米国には、放置すればイラクが「テロ支援国家」イランとさらに接近しかねないというジレンマもあります。 米国の今後の対応は不透明です。しかし、今後マーリキー政権が宗派間の融和を抜きにしたテロ対策に突き進めば、イラクが一層の混乱に陥ることは確かといえるでしょう。