認知症の人に買い物はムリ? 同じものをたくさん買ってきたときの対処法
わが家の「買い過ぎ」対処法
単純ですが、買い物メモを用意するという、誰もがやっていることから始めました。冷蔵庫の中の記憶がないならば、メモに残しておこうと。しかし、メモがあっても目にものが飛び込んでくると、反射的に購入することも多く、改善はしたものの、未だに重複します。一緒に買い物するときは、目を盗んでカゴから棚に戻すこともやります。 最終的に、母の買い物をすべて受け入れるという方法でやっています。買い物は、ものを探して歩く、献立を考える、鮮度のいいものを選ぶ、お金を払うなど、判断することが多いですし、社会とのつながりのある行為です。「買い物療法」というコトバが存在するくらい頭を使うので、認知症の方にもメリットがあります。 「同じものを何個も買うムダ遣いは、認知症のリハビリ費用のようなもの」だと、わたしは考えています。こう考えるようになってからは、ムダ遣いがあってもイライラしなくなりました。
同じものを家に保管するときの、2つの注意点
1つ目は、買ってきたものは、分かりやすく1カ所にまとめておきましょう。独居の母が、ジャムを6個購入したとき、置いてある場所がバラバラだったので、すべて開封してしまいました。もし未開封ならば、ほかの人にあげることもできますし、返品もできます。 2つ目は、賞味期限の管理です。認知症の方は、日付の感覚がないことが多いです。賞味期限の切れたものは、介護する側が廃棄しましょう。親や祖父母の世代は、ものを粗末にしてはいけないと言われて育ちました。目の前で廃棄をすると、もったいないから止めなさいとケンカになることもあります。 親家片(おやかた:親の家を片付けるという意味)が話題になりました。特徴として、捨てたくないと言い張る親と捨てたい子どもとの争いがよく起きます。もめないコツは、バレないようにこっそり捨てることです。うちの場合は、デイサービスで不在のときに、冷蔵庫の整理をするようにしています。
通信販売、訪問販売のわが家の体験談
通信販売で、何度も購入するケースもあります。結局、ダイレクトメールが来ると、つい購入してしまうようだったので、送付を止めてもらいました。母はオリーブオイルを通販で購入したまま、支払用紙を廃棄してしまい、再送してもらった経験があります。 また、独居の高齢者を狙った訪問販売もあり、こちらはインターホンを録画機能付きにすることで、誰がいつ来たのか分かるように対策をしました。 いかがでしたか? 同じことの繰り返しでイライラしてしまうかもしれませんが、金額が大きくないようなら、社会とつながっていることをありがたいと思う、介護者側の寛容な気持ちも大切かもしれません。 【連載】病院では教えてくれない 認知症でもWin-Win介護(介護ブログ「40歳からの遠距離介護 」運営・工藤広伸【くどひろ】)