韓国「コントロールタワー」不在で発生した大規模惨事…代行の代行、50分後に指示
【12月30日 KOREA WAVE】韓国全羅南道・務安国際空港で29日発生した旅客機墜落事故について、政府が関係部処間で協議し対応に乗り出す一方、前例のない「大統領権限代行の代行」という国政コントロールタワー不在の状況に懸念が出ている。 現在、大統領権限代行はチェ・サンモク(崔相穆)経済副首相兼企画財政相が担う。事故対応についても、大統領室や首相室とも連携を維持しながら収拾に務めている。 チェ・サンモク氏は同日午前9時57分、政府ソウル庁舎に設置された務安航空機事故中央災害管理センターで中央災害安全対策本部会議を開き、「利用可能なすべての人員と装備を総動員し、人命救助に全力を尽くせ」と指示した。 チェ・サンモク氏は会議で、行政安全相職務代行、国土交通相、消防庁長、警察庁長など関係機関に対し救助に全力を注ぐよう指示するとともに「人命救助の過程で消防隊員などに安全事故が発生しないよう、特に注意すること」を要請した。 重大事故が発生すれば、大統領や首相は即座に状況報告を受け、関係機関に対して適切な対応を指示するなどの措置を講じる。チェ・サンモク氏もこの日、事故発生から約50分後に関連指示を出した。 チェ・サンモク氏がトップを務める企画財政省には関連組織が存在しないため、チェ・サンモク氏を補佐すべき大統領室と首相室が同省に協力し、対応に乗り出したと伝えられている。 政府関係者は「首相室は安全を担当する行政安全省と協議し、権限代行がいる企画財政省に協力して事故対応にあたっている。国務調整室長、国務第1次官らの担当幹部も災害状況室で対応し、中央対策本部長を務めるチェ・サンモク氏を補佐している」と述べた。 政府の迅速な対応に続き、チェ・サンモク氏が事故現場を直接訪問する決定を下したことは、「代行の代行体制」という混乱を軽減するための措置とみられている。 チェ・サンモク氏は今月27日、ハン・ドクス(韓悳洙)首相の弾劾訴追案が可決された後、権限代行職を引き継いだ。しかし、史上初の「代行の代行」体制は国政の混乱を招く大きな懸念となっている。 政府の対応が迅速に進められている点は幸いだが、チェ・サンモク氏を補佐する企画財政省に関連組織が存在しないことが、安全を担うコントロールタワーの不在につながる可能性があるとの指摘が出ている。 特に、共に民主党が憲法裁判官の任命や「内乱およびキム・ゴニ(金建希)氏特別検察法」の公布をめぐって連続的な弾劾を予告しており、権限代行が毎週交代する可能性がある点も懸念材料として挙げられている。 政府の別の関係者は「災害安全事故への対応マニュアルなどは基本的に整備されているが、コントロールタワーがいつでも変わり得る現状では問題が生じる可能性がある。安定した国家運営のために不確実性の解消が急務だ」と述べた。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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