プロフェッショナルへのあこがれ『がっちりマンデー!!』/テレビお久しぶり#112
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『がっちりマンデー!!』(TBS)をチョイス。 言葉そのものの交わし合い『スマホがない時、どうしていたの?』/テレビお久しぶり#111 ■プロフェッショナルへのあこがれ『がっちりマンデー!!』 ふと、朝のさわやかなバラエティ番組を見たくなるようなときがある。いかにも空調がきっちり整えられていそうな綺麗なスタジオで、さわやかなテーマを、さわやかな面子で取り扱う、風通しの良い番組だ。毎週日曜あさ7時30分から放送されている『がっちりマンデー!!』は、加藤浩次と進藤晶子のふたりがMCを務める生活情報バラエティ。私の世代では、加藤浩次といえばやはりジャイアントスイングなのだが、少なくともこの番組では回転をする素振りすら見せず、朝の顔としてさわやかに徹している。 今回はゲストにアンミカを迎え、”なぜか新聞の全面広告だけでよく見る会社”の実態を探っていく。デジタルゆとりZ世代ゆえ私は新聞を読まないのだが、確かに、全面にプリントされた野菜ジュースとか、梅干しとか松前煮の広告なんかは、なんとなく見覚えがある気もする。全面広告を出しているいくつかの企業に実際に取材に行くのだけど、どこもめちゃくちゃ儲かっているらしい。その秘密は一体どこにあるのか……その答えは番組本編で確かめていただきたい。 商売人って好きなんですよね。商魂逞しい人、というか。口八丁手八丁でモノを売ろうとしている人。それがすごく魅力的に見える。やっぱり商魂というものがカッコいいのだろうか。この感性は、映画好きであった私の青年時代に培われたのかもしれない。ちょっとだけ、思い出話を……。 日本の配給会社のいくつかは、大ヒットした映画にあやかって、まったく無関係の映画に紛らわしい邦題をつけて流通させる芸当(『バス男』なんかが代表例だが、明らかに『電車男』とは別物だと分かるような可愛いものじゃなく、客が間違えてレンタルするのを狙った悪質なジャケットもたくさんあった。たとえば『ハング・オーバー⁉』という、『ハングオーバー!』シリーズとはまったく関係のない映画があったり……チョイ役の有名俳優をさも主演かのようにデカデカとアピールするのもよく見た。同じく『ハングオーバー』繋がりで言えば、シリーズでブレイクしたザック・ガリフィアナキスがジャケットにドーンと表示されているにも拘らず出演時間は10分ほどであった『フレネミー』とか。ちなみに『フレネミー』の真の主演はマシュー・モディーンであり、彼だってそれなりの格とキャリアの持ち主である筈なのだが……本国版のDVDジャケットも同様のデザインになっているから、日本だけの問題でもなさそうだ。カッコ内でどれだけ話すつもりだ)を得意としていた。私は幼少期より、そういった商魂に積極的に触れ、楽しんできた。どれだけくだらない映画でも、世に流通させ、人々の手に取らせるヒーローのようにすら思えた。もちろん私自身が騙されたら超むかつきますが、とにかく、こうして大人の商魂と無邪気に触れあっていた。冷静に考えれば詐欺まがいの商売であるのだけども……いや、なんかもう全然関係ない話をしているな……。番組の話に戻ろう。 さて、番組内で特に魅力的だったのが、”夢グループ”という会社の石田社長。考え方や振る舞いがまさしく商売人そのものであり、自社製品はすべて彼の発案によるものだという、生粋のアイデアマンでもあり、自身でCM出演までしてしまうタレント性も兼ね備えている。他社製品の類似品をより安価に販売し、売れないと分かったら即撤退する思い切りの良さ。まさにプロフェッショナルである。結局のところ私は、いつでもプロフェッショナルに憧れているのだろう。私といったら、ライターのくせをして、記事とはまったく関係のない話を363文字も繰り広げ、文章のリズムというものを著しく欠いている。でも開き直っているから、このまま出す。プロフェッショナルとは程遠い人間である。 ■文/城戸