群馬県が熊被害対策を強化 山奥に赤外線カメラ
群馬県は、熊による人身被害の防止に向けて対策を強化している。5月補正予算案で、ツキノワグマ対策事業に1400万円を計上し、生息把握のため山奥に赤外線カメラを設置する。7月には県ホームページ(HP)で「リアルタイム出没状況マップ」を公開するなど情報発信にも力を入れる。県は「熊による人身被害を限りなくゼロに近づけたい」と話す。 全国で熊による人身被害が相次いだ2023年度、同県では5~11月に4件の被害が発生した。活発になる時期を迎え警戒を強める中、今年5月31日未明には安中市の住宅に熊が侵入。夫婦が重傷を負う被害が発生した。 対策事業では、生息域や生息頭数の把握に向け山奥の22カ所に赤外線カメラを設置する他、人里出没時の麻酔銃猟の出動費を盛り込んだ。麻酔銃の取り扱い事業者と県が契約し、出没地域へ派遣する仕組みを構築する。
ユーチューブで解説動画も
県は、一番の熊対策は「遭遇しないこと」と強調する。7月にHPで公開を始める予定のマップでは、市町村職員が入力した出没情報を表示する。 他にも、遭遇時の対処方法をまとめた動画をユーチューブの県公式チャンネルで公開した。県職員が遭遇時の行動を実演する他、専門家が生態を解説。適切な逃げ方や防御体勢などを確認できる。 山本一太知事は「県民の命と暮らしを守るため、先行して熊対策に取り組む」と強調する。県によると、20年度調査による推定生息頭数は2022頭。23年度の出没件数は、統計を始めた11年度以降で4番目に多い715件に上った。
日本農業新聞