イチロー「最低でも50歳まで」と米紙
ベテラン選手がぶちあたる、スピードボールに対応できなくなる……という問題は、つまりバットスイングの衰えでなく、動体視力の老化現象に起因している、という理論だ。 マッティングリー監督が、「伝説」と表現するほどのイチローのストイックで、しかも、初動負荷をメインとした科学的なトレーニングで、筋力が維持できるならば、おそらくバットスイングスピードや走力には問題は出ないのだろう。問題は、衰える動体視力への対処と、肉体の変化と同時に技術をどうマイナーチェンジするかの対応力。ここの部分もイチローの類まれなるセンスをすれば十分に解決しそうに思えるが、もうひとつ「最低でも50歳まで」現役を続ける上で、怖いのが故障だ。 元阪急の世界の盗塁王、福本豊氏に「ふくらはぎをやっちゃうとオシマイなんだ」という話を聞いたことがあるが、45歳でバットを置いた落合博満も、ヒットを打つ技術にはまったく衰えがなかったが、足の故障が引退の遠因にはなった。 桑原氏も、「年齢を重ねると筋肉の回復力が遅れます。衰えた筋力を理解した上で、それに見合った負荷をかけていくべきですが、それを見誤ると、その誤差が積み重なって故障につながります。リカバリーに時間をかけ、回復力に注視していくことも怪我予防には必要なことでしょう。技術面のことを私はわかりませんが、動体視力、神経系、回復力の3つをなんとかすれば、50歳までプレーは可能だと思います。今は、それらを補うスポーツ科学が進んでいますからね」と、故障予防がポイントだと指摘する。 ちなみにメジャーの最年長記録は、ピッチャーでは、サチェル・ペイジの58歳で、野手でミニ・ミノーソの57歳。日本でもおなじみのフリオ・フランコも50歳までメジャーでプレーした(後日、生年月日が訂正されたため)。イチローが50歳でプレーしていてもなんら驚きはないのかもしれない。