清川栄治さん死去 現役時代、ホテルの部屋の外にいつも畳んで置かれていた洗濯前の汚れたユニホーム
西武は13日、広島、近鉄でプレーした清川栄治投手育成アドバイザーが悪性腫瘍のため5日に都内の病院で逝去したと発表した。62歳だった。故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行われた。 * * * キヨちゃんの遠征先のホテルの部屋の外には、いつも汚れたユニホームやアンダーシャツが畳んで置かれていた。これから洗濯に出すというのに、もう出来上がったクリーニングのようだった。とても几帳面(きちょうめん)な性格が、左のワンポイント投手としての活躍を支えていたのだと思う。 投球では、とにかく正確性を求めていた。「動くボールを打つバッターもそうだけど、狙ったところに投げられないのは投手の悲哀でもあるよね」と聞いたことがある。生真面目で冗談を言えないような性格だったけれど、若い選手から兄貴分として親しまれた。勉強熱心で、常に相手に寄り添う姿が今も思い出される。 広島での独身時代は、料理も上手だったし、縫い物もする家庭的な一面もあった。「針の穴を通すのは難しくないけれど、ピッチングでは、なかなかそうはいかないよね」と。 すごく母親思いだった。選手に対しても愛情を持って接していたからこそ、晩年まで複数の球団からコーチとして求められ、野球界で生涯を全うした。まだまだこれからという62歳。あまりに早過ぎる。(報知新聞OB・駒沢 悟)
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