英国で奮闘する親友に刺激を受けて――町田内定FW桑山侃士が磨き続けた武器。デュークやオ・セフンを意識「2人と同じことをやっていたらダメ」
途中出場から2得点に絡む活躍ぶり
第73回全日本大学サッカー選手権大会(以下、インカレ)は、昨年まではトーナメントだったが、今大会から1回戦はプレーオフと称して一発勝負で戦い、勝った方が決勝ラウンドのグループステージへ、負けた方が強化ラウンドのグループステージに進み、それぞれのラウンドで覇権を争う形に変化した。 【画像】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集! そのなかで関東第8代表の東海大はプレーオフで東海第2代表の中京大学に2-2で突入したPK戦の末に敗れ、強化ラウンドに回ることとなった。迎えた強化ラウンド初戦の相手は九州第3代表の日本文理大。前半は先制を許すなど苦しい戦いを強いられたが、後半にエースストライカーの投入で流れは一変した。 来季のFC町田ゼルビア入りが内定している184センチのFW桑山侃士は、後半開始からピッチに立つと、空中戦ではほとんど相手を上回り、クサビや縦パスだけではなく、対角のフィードもしっかりと収めて周りに配球すれば、鮮やかなターンで瞬時に前を向いて敵陣深くまで仕掛けたりと、陸空を完全制圧してチームに推進力をもたらした。 52分に右からのクロスに飛び込むと、GKとの競り合いからこぼれたボールをMF大戸太陽が押し込んで同点。70分にはクサビを受けて前を向くと、シュートを打つと見せかけて、背後をクロスオーバーしてきたFW遠野翔一へ絶妙なスルーパス。相手GKを引き出すと、遠野がダイレクトで折り返してMF大塚瑶平が蹴り込んで逆転ゴール。桑山は2ゴールに絡む活躍でチームを勝利に導いた。 「前半を外から見ていて、きれいにやろうとし過ぎていた部分があったので、後半は丁寧に繋ぐところと、シンプルにいくところをしっかりと使い分けて、どんどん自分たちの良さを出そうと意識しました」 決勝ラウンドに進めなかったが、エースとして大学最後のインカレを戦い抜く強い意志がその言葉から感じられた。 今年の4月に町田入りを発表し、特別指定選手として今季はJ1リーグで3試合に出場。ルヴァンカップでは2試合にスタメン出場を果たした。 「町田における僕の役割は、ミッチェル・デューク選手やオ・セフン選手と似ていますが、2人と同じことをやっていたらダメだと思い、収めたり、ポストプレーやゴール前の勝負強さだけではなく、パスの経由地として流れを作り出すプレーや、守備のスイッチを入れたりするプレーの回数を増やすことを大学では意識してきました。 そのうえで大事にしたのはボールを受ける前の認知で、事前に相手の状況を見て、ボールが来たら素早くプレー選択できるようにするために、視野の確保やターンの質の向上にこだわってやってきました」 この言葉通り、桑山は大きくて強いだけではなく、中継点となるプレーを高いアジリティーと正確な判断力でこなすからこそ、周りの選手が信頼して、彼が作り出した時間と空間に飛び込んでいき、チャンスを創出していくことができる。
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