農業の動物被害を実地で研究 東京の専門学校生5人 館山でフィールドワーク(千葉県)
「東京環境工科専門学校」(東京・墨田区)の学生5人が26~30日の日程で、館山市内の里山を舞台にフィールドワークを行っている。27日には、同市笠名地区の山あいの農地でイノシシの出没状況や被害状況を調査し予防策などを考えた。 同校は、自然環境の調査や保全などについて学ぶ専門学校で、学生らは群馬県の赤城山周辺や神奈川県の丹沢山地など、都市近郊で年に数回、フィールドワークを実施している。館山もその一つ。 館山市で館山ジビエセンターを運営する合同会社アルコの沖浩志さん(41)が卒業生であることから、2018年ごろから野生動物による農業被害の現状を把握することなど、年に2回ほど実習を行っている。 今回の実習には、獣害の被害対策などを学ぶ高度自然環境管理学科の3、4年生が参加。笠名地区での野生動物の生息環境を調べ、集落周辺の防御対策を考える「集落診断」を実施した。 笠名地区の有害鳥獣捕獲従事者の山﨑善夫さん(71)によると、地区南側の谷沿いには、かつて耕作地が広がっていた。だが、農家の高齢化や労働力不足で放棄地が増加。草刈りなど手入れをしている所もあるが、手が足りずに荒れてしまっている所が多く、イノシシが出没しやすい環境となって農作物が食べられるなどの被害の一因になっているという。 学生らは、山﨑さん、沖さんの案内で、イノシシが農地を掘り返した跡や、侵入ルートを地図に書き込むなど生息環境を調査。また耕作地の防護柵の設置状況なども見て回った。学生らは、集落診断で得た情報を基に最適な対策方法を考え、地域住民らに提案する予定となっている。 3年生の古屋幸馬さん(20)は「地域の人から声を聞きながら、周辺を回れて理解が深まった。農地の近くには、動物が隠れられるような場所もあったので、木々を間引くなどの対策を提案したい」と話した。