【ラノベ最新動向】久々の『フルメタル・パニック!』や人気シリーズの新刊も 2024年1月の注目ライトノベル
『フルメタル・パニック!』が帰ってくる。2024年1月発売のライトノベルでは、1月19日発売の賀東招二『フルメタル・パニック!』シリーズの久々の新刊となる『フルメタル・パニック! Family』(ファンタジア文庫)が注目を集めそうだ。 【画像】『フルメタル・パニック!』シリーズの久々の新刊『フルメタル・パニック! Family』 本編の『フルメタル・パニック!』が2010年に上下巻で刊行された「ずっと、スタンド・バイ・ミー」で完結し、世界の存亡をかけた戦いが終結してから20年後の世界が舞台。傭兵の相良宗介と女子高生の千鳥かなめの主役ペアが結婚をして子供もできて、構えた一家に起こるドタバタを描いて楽しませてくれる。 20年が経っても世界的に注目される2人だけあって、居場所が知られると襲撃を受ける状況が続いている模様。そのために名を変え住まいを転々としながら暮らしている一家の今の状況や、あの親たちにしてこの子たちありといったトラブルにも動じない子供たちの姿などが描かれている。 雰囲気としては、シリアスなバトルストーリーが展開された本編よりも、戦場育ちの宗介が一般社会で戦場だからこその振る舞いを見せて浮かぶギャップの面白さで読ませた短編に近い。そちらも2011年刊行の「マジで危ない九死に一生?」が最後となっていて、新刊は13年を経ての『フルメタル・パニック!』シリーズ復活となる。 シリーズには原作者の賀東が監修して大黒尚人が執筆した『フルメタル・パニック!アナザー』があって、そちらでは本編の12年後を舞台に、高校生の市之瀬達哉が民間軍事会社を設立していたメリッサ・マオにスカウトされて、戦いの現場に赴くといったストーリーを楽しめる。ただ、宗介やかなめの動向は明確にはされていないため、気になっていた人は『フルメタル・パニック! Family』を読んで、20年が経っても愉快な宗介とかなめのドタバタとした日々を楽しもう。 人気シリーズの最新作では、1月10日に安里アサト『86―エイティシックス―Ep.13 ─ディア・ハンター─』(電撃文庫)と秋『魔王学院の不適合者14〈下〉 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~)』(電撃文庫)が登場。『86ーエイティシックス-』シリーズは人類を滅ぼそうとする機械知性体〈レギオン〉を相手に戦っていた人類側に、疑心暗鬼から内紛や暴動が起こるといった展開。窮地にある人間の弱さがうかがえる。『魔王学院』シリーズは魔弾世界でのアノスの戦いに決着が付く。 佐藤真澄の人気シリーズ最新刊『処刑少女の生きる道(バージンロード)9 ―星に願いを、花に祈りを―』 (GA文庫)は1月15日に発売。異世界から転移してきた者たちが災いを引き起こす前に処刑する任を負っていた処刑少女のメノウを主人公にしたシリーズで、ハクアという名の強敵を相手にする戦いで不可欠な四大人災【器】との接触を試みる。さらなる試練がメノウたちを襲いそう。 1月5日からTVアニメがスタートとなる、ぶんころりによるシリーズの最新作『佐々木とピーちゃん 8 巡り巡って舞台は学校、みんなで仲良くラブコメ回 ~真実の愛を手にするのは誰だ?~』(MF文庫J)は1月25日発売。冴えない中年男がペットショップで買った文鳥が異世界の賢者の転生した姿で、そこから異世界に行ったり魔法少女のバトルに巻き込まれたりする生活が始まるといったストーリー。最新刊では機械生命体の十二式が学校に行くようになって、そこに魔法少女も悪魔も宇宙人も集まりラブコメチックな大騒動が繰り広げられる。 ラブコメのシリーズでは、屋久ユウキ『弱キャラ友崎くんLv.11』(ガガガ文庫)が1月18日に発売。パーフェクトヒロインの日南葵と大阪旅行ではあまり話せなかった友崎友也は、3年生になって特進クラスに進んだ日南との関係を深めようとして彼女の家を訪ねる。そこで出会った意外な人物とは? シリーズが最終ステージへと向かって動き出す。 ライトノベルのラブコメ人気は2024年も衰えておらず、新シリーズが続々と登場してバラエティーに富んだ恋愛事情を見せてくれそう。第8回カクヨムWEB小説コンテストでラブコメ部門《大賞》を受賞した3pu『俺の幼馴染はメインヒロインらしい。』(スニーカー文庫)は2023年12月28日に発売済み。タイムリープをして2度目の人生をやり直している街鐘莉里の絶望していた心を幼なじみの水無月彩人が救ったことから、本来はモブだった彩人がメインヒロインの莉里と仲良くなっていくという、工夫された展開を持ったラブコメだ。 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の伏見つかさによる新刊『私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない』(電撃文庫)は、容姿端麗で学業優秀でスポーツも万能でおまけに金持ちという千秋がなぜか女子にまったくモテずにいたところ、ある事態が起こってそれは双子の妹の楓にも及んでいたという、不思議な設定から始まる異色のラブコメ展開を楽しめそう。1月10日発売。 『寄生少女サナ』シリーズの砂義出雲による『隣の部屋のダ天使に、隠しごとは通じない。』(MF文庫J)は、世界人口の半数を死に至らしめた「人類の敵」の息子である高校生と、天国から派遣された怠惰で人見知りな美少女堕天使がバディとなって悪魔による超常犯罪に挑むストーリー。ファンタジーにラブコメとミステリが混ざった作品となりそうだ。1月25日発売。 シリアスな作品も登場。夏海公司『セピア×セパレート 復活停止』(電撃文庫)は3Dプリンター技術が発達して、バックアップから生命を再生できるようになった未来が舞台。異動辞令を受けながら意識を失ったエンジニアの園晴壱が復元されて目覚めると、復元直前の記憶を失っていて、保険調査員の殿森空から保険金詐欺として多額の債務返済を迫られる。身に覚えのない疑いを晴らすために空と手を組んだ晴壱がたどり着く真相とは? SF設定のミステリとして楽しめそうだ。1月10日発売。 キャラクター小説系では、白野大兎『雨の魔術師 少女の恋と解けない呪い』(富士見L文庫)が面白そう。魔術学園を舞台に、突如魔力を失って落第生となったシャロムが、優等生のユエルから試験の相棒に指名されて始まる2人の「呪い」を解こうとする活躍が描かれる。バディものの恋愛ミステリを楽しめそうだ。1月13日発売。 仲村つばき『愚痴聞き地蔵、カンパニーのお家騒動に巻き込まれる。』(集英社オレンジ文庫)は、会議室で愚痴を聞いてくれることから地蔵のような存在だと思われている化粧品メーカーの総務部社員、朝井詩央が次期社長の選定という重大任務を社長に与えられる展開。会社にありがちな悩みや問題と、その解決法に触れられそう。1月18日発売。同じ著者の『彼女はジャンヌ・クーロン、伯爵家の降霊術師』(富士見L文庫)も1月13日発売。こちらは霊が見えて物言いもストレートな伯爵家の次女ジャンヌが、悪霊を蹴散らして進むカッコ良さに触れられそう。 ソングライターでボカロPのsasakure.UKの人気楽曲を、SF作家の人間六度が小説化した『トンデモワンダラーズ』(メディアワークス)が『上〈テラ編〉』と『下〈カラス編〉』で1月25日に発売。かわり映えのしない日常からトンデモな冒険へと飛び込んでいった2人は、本当の自分を見つけることができるのか。1月25日発売。
タニグチリウイチ