自身も能登大地震で被災…元TBS女子アナがデザインした「日本酒『復興ボトル』」への特別な想い
奥行きのあるブルーを基調に描かれた虎、鋭い視線でこちらを見つめるライオンーー。 いずれも日本酒のラベル用に制作された異色のデザインだ。考案したのは元TBSのアナウンサーで画家の伊東楓さん(30)。デザインされた日本酒は、能登半島大地震で被災した故郷・富山県酒造組合18蔵の名酒である。伊東さんが、被災地の日本酒ボトルに込めた特別な想いを語った(以下、コメントは伊東さん)。 日本酒に虎やライオン…?元TBS女子アナがデザイン「能登地震復興ボトル」斬新すぎるラベル写真 立教大学文学部から’16年4月にTBSへ女子アナとして入社した伊東さんが、同社を退社したのは’21年2月だ。 「子どもの頃から絵を描くことに興味がありました。大学時代に、通信試験を受けて『似顔絵師』の資格をとったくらいです。転機となったのは’18年秋。中居正広さんのバラエティ番組でアシスタントをし、相談を寄せる芸能人や一般の方の似顔絵を即興で描くことになりました。やるならちゃんと描こうと、自宅で毎日のようにデッサンの勉強を始めたんです。それから、どんどん絵を描く楽しさにハマっていきました」 ◆アメリカ人から教わった日本酒の魅力 画家になろうと一念発起しTBS退社後は、古典絵画に日常的に接する機会が多いドイツへ拠点を移した。ドイツでは日本酒との意外な出会いが。 「仲の良くなったアメリカ人の女性が、ベルリンで日本酒のセレクトショップをやっていたんです。彼女は日本酒の歴史から造り方まで詳しく勉強していた。日本人の私よりずっとよく理解していました。それがスゴく恥ずかしく、日本酒の魅力を知るキッカケになりました」 伊東さんは東京・銀座で個展を開くため、昨年末に一時帰国する。 「以前から、お酒を飲みながらアートを鑑賞できる空間があればいいなぁと思っていました。自分だけの時間にひたり芸術を楽しむんです。相談に乗っていただいたのがTBSの先輩アナ・枡田絵理奈さんの親戚が営む、私の地元・富山県の『桝田酒造店』さん。その直後のことです。大きな地震が能登半島を襲ったのは……」 伊東さん自身も、富山県内の自宅で大きな揺れに遭遇する。実家の壁はヒビ割れ不安な日を過ごした。お世話になった「桝田酒造店」に電話すると、酒蔵などが被害を受けたという。 「被災地のために何かできないか、ずっと考えていました。『桝田酒造店』さんと話してたどり着いたのが、富山県酒造組合の『復興ボトル』ラベル制作プロジェクトです」 酒の味や世界観に合わせ、色合いやテーマを考えた伊東さん。デザインした多くの日本酒ラベルには、冒頭で紹介した通り虎やライオンなど「猛獣」が描かれている。そこには、彼女なりの特別な想いが込められていた。 「私はドイツで架空請求など、さまざまなトラブルに遭いました。そんなツラい時に描いたのが虎などの動物です。『負けたくない』『強くなりたい』という想いを込めて作成しました。苦しい状況にある被災地の方々が、希望を見出し再び笑いながらお酒を飲めますように。そして日本酒の魅力を、より多くの人に知ってもらえますように……。そんな復興への願いをラベルに託しています」 伊東さんがデザインした「復興2024ボトル」は3月1日より販売される。一升瓶2万2000円の売り上げは、全額被災地に寄付される予定だ。
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