「セクシー田中さん」関係者ら誹謗中傷“カオス化” ネットにあふれる“正義感”の行きつく先
「人殺し」「詫びろ」多方面に誹謗中傷が殺到
一連の経緯が明らかになると、ネット上では脚本家のほか、脚本家のインスタグラムに同調のコメントをしていた著名人にも「人殺し」「もう世に出てくるな」「詫びろ」などの誹謗中傷が殺到。また、ドラマの公式SNSにも「あなたたちのせいで原作者が命を断った」「これどうするんですかね?」といった批判コメントが数多く寄せられている。 これらの書き込みには、非常に“強い”と感じる言葉も少なくない。原作に思い入れがある人、一連の経緯を知り“正義感”に突き動かされた人、テレビ局をたたきたい人など、投稿の背景にはさまざまな感情があることは推察できる。しかし、これらの言葉が関係者らを精神的に追いつめることは想像に難くなく、さらなる悲劇を生む可能性もあるだろう。もちろん、「悪いことをした人はどうなっても仕方がない」という主張が問題の本質からずれていることは、一歩引いて冷静に考えれば明らかだ。
誹謗中傷“あるある”の内容でも有罪判決に
誹謗中傷する本人たちは「顔が見えないから」「みんなもやっているから」と“匿名性”に安心し気軽に投稿しているのかもしれないが、名誉毀損(きそん)罪や昨年7月に厳罰化された侮辱罪など、懲役刑の可能性もある罪に問われるリスクを背負うということも忘れてはならない。 「罪に問われるなんて大げさな」と思うかもしれないが、過去の事例を見ると、ネット上でよく目にするような投稿でも有罪判決を受けていることがよく分かる。 ①ある建設会社が事件の犯人の親族だという疑いに同調し、「これ?違うかな」というテキストとともに無関係な会社のホームページのURLを投稿(名誉毀損罪、罰金30万円) ②SNSに「人間性を疑います。1人のスタッフを仲間外れにし、みんなでいじめる。1人のスタッフの愚痴を他院のスタッフに愚痴を言いまくる社長 1人のスタッフの話も聞けない社長」などと投稿(侮辱罪、科料9000円) ③インターネットの掲示板に「○○(被害者名)は自己中でワガママキチガイ」「いや違う○○(被害者名)は変質者じゃけ!」などと投稿(侮辱罪、科料9900円) ④インターネットサイトの口コミ掲示板に「詐欺不動産」「対応が最悪の不動産屋。頭の悪い詐欺師みたいな人。」などと投稿(侮辱罪、科料9000円) ⑤集合住宅で被害者3人に対し「今、ほら、ちまたで流行りの発達障害。だから人とのコミュニケーションがちょっと出来ない。」などと言った(侮辱罪、科料9000円) ※②~⑤は法務省公表「侮辱罪の事例集」より。いずれも厳罰化前の2020年中に一審判決・略式命令のあった事例のため科料1万円未満だが、現在は1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料になる可能性があるので注意が必要