「どんな場面でも手を抜かない」堺正章 明かした盟友・西田敏行さんと『西遊記』での“初対面秘話”
夏目雅子さんに負けじとアドリブ合戦に
西田さんとの初対面の思い出を聞くと――。 「共演する前に彼が出ているドラマを見て、変わった役者が出てきたなと。“役者のはずなのになんだろうこの男は……?”と、摩訶不思議な感じがしましたね。いろんな役をおやりになっていたし、『西遊記』で猪八戒を西田さんがやることになり、“この方がやってくれるなら作品の厚みが変わるよね”と思いました。本当に感謝の気持ちです。 現場でご一緒したときには、西田さんが懸命に頑張って猪八戒を演じている姿を僕は毎日のように見ていました。どんな場面でも手を抜かない、気を抜かないというあの人の役者根性をあのときは勉強させていただきましたね」 “アドリブ合戦”で監督に叱られた当時を振り返ってもらった。 「監督からは“もうフィルムがないよ”と叱られましたね。あの作品にはバラエティの部分があって、ドラマの本線である“天竺にお経を取りに行く”だけではなくて、副産物がたくさんあったんですね。そこがいい味になっていて、西田さんや岸部シローさんの頑張りでもありました。 なかでもすごかったのは夏目雅子さんですね。どんなアドリブでも返してくるんですよ。常にアイドリングしているんです。どんなことをふっても『えっ!』と驚くことなく、三蔵法師のまま返してくる。すごいと思うことが何度もありました。彼女が三蔵法師の品格のままにアドリブで返してくるので、みんな負けじとアドリブ合戦になったんですね。スタッフは大変だったと思いますよ」 堺は’23年3月、トーク番組『ボクらの時代』(フジテレビ系)で西田さん、岸部一徳(77)と共演。過去の思い出を語っていた際、『西遊記』の話題に。西田さんとともに「また『西遊記』の続編をやろう」と言って盛り上がっていた。『西遊記』の続編は、先の追悼コメントのように、堺が“天竺の旅”に参加したときになるのだろうか。 「そうなんですよ。『西遊記』をやるには特別なキャラクターが必要なんです。われわれの後も『西遊記』をいろいろな方がやりました。もちろん、どの『西遊記』も素敵なんですけど、もし今の僕のところに『西遊記』の続編の話がきたら“年老いた猿”でしょう。天竺まで行くのは、もうしんどいよね(笑)。 西田さんもね、最後は体調の問題があって車いすでの演技だったようですが、“ああ、この人のエネルギーはすごいな”と、改めて心から尊敬しています」 堺主演の『西遊記』は、平均視聴率約20%を記録する大ヒット作に。この作品でも堺のモットーである“最高の二番手”が生かされていたようだった。
「女性自身」2025年1月21日・1月28日合併号