「絶句し、泣き崩れた。自分1人で抱えて我慢すればよかった」被害女性検事が涙をこらえながら会見 大阪地検元トップが一転し無罪主張へ
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元検事正が一転、無罪を主張へ。被害女性は「絶句し、泣き崩れた」とコメントしています。 (被害を訴えている女性検事)「(北川被告が)無罪を主張していることを知り、絶句し、泣き崩れました。今の率直な気持ちを申し上げると、被害申告なんてしなければよかった。自分1人で抱えて我慢すればよかった。私はただ、再び苦しんでいる被害者の方々に寄り添うことができる検事の仕事にもどりたかっただけなのに」 涙をこらえながら、絶望と怒りが入り混じった思いを訴える女性検事。事件は6年前に起こりました。 大阪地検の元トップで弁護士の北川健太郎被告(65)は、2018年9月、大阪市北区の官舎で、酒に酔って抵抗できない状態だった当時の部下の女性検事に対し、性的暴行を加えた準強制性交の罪に問われています。今年に入り、女性検事が検察幹部に被害を申告。地検の上級庁である大阪高検が北川被告を逮捕する異例の対応が取られました。事件当時の北川被告の役職は検事正、大阪地検のトップでした。 今年10月の初公判で北川被告は… (北川健太郎被告※罪状認否)「公訴事実を認め、争うことはいたしません。被害者に重大で深刻な被害を与えたことを心から謝罪したいと思います」 起訴内容を認めたうえで、女性検事に謝罪の言葉を述べました。検察側は冒頭陳述で、北川被告が泥酔した女性検事をタクシーに押し込んで自らの官舎に連れて行ったと説明。女性検事は気が付くと性的暴行を受けていて「帰りたい」と懇願すると…「これでお前も俺の女だ」北川被告がこのように発言したと指摘しました。 女性検事は初公判後の会見で… (被害を訴えている女性検事)「もっと早く罪を認めてくれていたら、この経験を過去のものとしてとらえることができて、また新しい人生を踏み出すことができた」 また、今年に入るまで被害申告できなかったのは北川被告からの“口止め”が理由だと訴えました。北川被告が初公判で起訴内容を認めたことで、裁判の争点は量刑となっていましたが12月10日… (北川被告の弁護人 中村和洋弁護士)「北川さんには事件当時、Aさん(被害を訴えている女性検事)が抗拒不能(抵抗できない状態)であったという認識はなく、またAさんの同意があったと思っていたため、犯罪の故意がありません。従って無罪ということになります」 新たに就任した弁護人が会見を開き、今後の裁判では一転、無罪を主張することを明らかにしたのです。初公判で起訴事実を認めた理由については… (北川被告の弁護人 中村和洋弁護士)「事件関係者(女性検事側)を含め、検察庁にこれ以上迷惑をかけたくないということにありました。しかしその後の、一部の事件関係者に生じた情報漏えい等にかかるあらぬ疑いや、また、検察庁に対する組織批判により、北川さんはこのような方針が間違っていたのではないかと悩み、自らの記憶と認識に従って主張することにしました」 捜査段階では否認していた北川被告。初公判の後の状況を踏まえ、当初の姿勢に戻ることを決めたというのです。今後はまず、「期日間整理手続き」という場で双方の主張が整理されていく見込みで、第2回公判の期日は白紙となりました。 12月11日再び会見を開いた女性検事は… (被害を訴えている女性検事)「性犯罪事件においてどのように主張すれば、逮捕や起訴を免れやすいか、無罪判決を得やすいかを熟知した、検察のトップにいた元検事正が、主張を二転三転させて、被害者を翻弄し、世にまん延する『同意があったと思っていた』などというこそくな主張をして、無罪を争うことが、私だけでなく、今まさに性犯罪被害に苦しんでいる方々を、どれほどの恐怖や絶望に陥れ、被害申告することを恐れさせているか、性犯罪の撲滅を阻害し、むしろ助長させることになるかを知ってもらいたかった」
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