広島がマエケンをメジャーに送り出す理由
FA放出の歴史は、古くは江藤智、川口和久から始まっているが、「FAの草刈場としての広島」という時代には終焉がこない。これは、もはや広島の経営構造上、宿命のような現象で、広島のファンにも一定の理解はされている。FAで金銭補償のないまま出ていかれるならば、例え上限が20億円に定められてもポスティングで話をまとめた方が、球団経営上、大きなプラスになる。黒田の時は、ポスティングではなく、FAだっただけになおさらだ。 この日、鈴木本部長は「前田選手の気持ちはわかるが……決めるのは、球団の判断。できるだけいい時期に行かせてあげたいのだが」と結論を口にせず言葉を濁したが、マエケンの希望と固い意志、その年俸の額と広島の球団経営上の理由。すべてが合致して来年オフのエースのメジャー移籍に前進するような状況となった。 (文責・駒沢悟/スポーツライター、元スポーツ報知広島番記者)