【特集】「4病院再編」なぜここまで難航するのか【2024年振り返り】
精神医療Cは全会一致で「名取市内で建て替え案」
合意を取り付けたい県は、 「富谷市に移転した上」で、 ①名取市に新たな精神科病院を誘致する案 ②名取市に分院を置く案を出したが、前に進むことはなかった。 11月13日、県が初めて富谷市ではなく「名取市内での建て替え案」を選択肢として示すと、審議会は全会一致で「名取市内」を選択した。 村井知事 「関係者との協議により解決が図られることを前提として、県立精神医療センターの名取市内で建て替える方向で検討を進めてまいります」 4病院再編を打ち出してから約3年。 村井知事は一転して、県立精神医療センターを名取市内で建て替える方針を示した。 村井知事 「二転三転したわけではなく紆余曲折はございましたけどここにやっと至ったと」
なぜ、精神医療センター移転がここまで難航するのか
医療を巡る環境に詳しい東北福祉大学の佐藤英仁教授は通常の医療と精神医療の違いを指摘する。 東北福祉大学 佐藤英仁教授 「長期にわたって療養しなければならないっていう特殊性も精神病院の1つの大きな特徴。患者さんが精神的に疲弊する可能性はしっかりと考えていかなければならない」 内科や外科にまして、患者と医療スタッフの関係性が重要となってくる精神医療。 病院が移転すれば、本人だけでなく、サポートする家族にも影響がでてくる。 東北福祉大学 佐藤英仁教授 「全国的な傾向をみると精神病院に入院している患者さんの近くに住みたいっていう家族の想いがありますので引っ越すケースというのは少なくありません」 患者を支える立場とともに、自身も入院した経験がある川村さんは、「当事者の話を聞いてほしい」と訴える。 精神保健福祉士 川村有紀さん 「精神障害ってちょっと薬を飲んで何日か寝たら治るってそういう病気ばかりではないので、病院に長く通って先生とお話したりしてリハビリをしたり薬を飲んだりということをしながら徐々に安定した生活を送れる疾患あるので。そういった時にいつも通ってる病院があるのは大事なこと」 伊藤有里 記者 「医療体制の再構築は必要性を感じる一方で、県の二転三転する対応は結果として当事者に戸惑いを感じさせ続けました。県内どこで暮らしていても安心して医療を受けられるため納得のいく議論と丁寧な説明が求められています」