限界を迎える日本の社会保障制度…「低賃金化・非正規社員化」で困窮する現役世代が被る、著しい不利益
社会保障を削減すれば、出生数は回復するが……
社会保障の充実が少子化をもたらすということは、裏を返せば、社会保障を削減すれば子どもが増えるということでもある。ならば、いっそのこと社会保障を大胆に削減すればよいのではないか。 今、出生率と社会保障の充実度の関係式を使って、仮に一人当たり社会保障給付額を50%削減するならば、出生率(%)は10.3に回復、出生数は40.8万人増え、127.3万人となる。この水準は、バブル期の1988年131.4万人、1989年124.7万人に近い※。 ※ ちなみに、1989年は、合計特殊出生率がそれまで最低であった1966年の丙午という特殊要因による1.58を下回る1.57を記録した年であり、1.57ショックとして衝撃を持って受け止められた。 このように、社会保障を削減すれば、出生数は回復する。ただし、出生率が回復するからといって社会保障給付を削減すれば途端に多くの経済的・身体的弱者が路頭に迷うことになるので、社会保障と経済・社会の最適解を見つける努力が必要であろう。 島澤 諭 関東学院大学経済学部 教授
島澤 諭