「京都撮影所の職人さんたちの愛情を、ずっと感じながら撮影できた」話題の映画『侍タイムスリッパー』撮影現場で安田淳一監督が感じたこととは?
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 10月12日(土)、19日(土)の放送ゲストは、口コミで話題が広がり全国上映にまで拡大した自主映画「侍タイムスリッパー」安田淳一監督です。19日(土)の放送では、映画の撮影裏話や今後の夢・挑戦などのお話を伺いました。
1967年生まれ、京都府出身の安田さん。大阪経済大学在学中から映像制作業を開始し、卒業後はさまざまな仕事を経て、映画製作を実施。2014年に自社制作した映画「拳銃と目玉焼」は、東映系シネコンの全国6都市・各都市ミニシアターにてロードーショーされました。また、2017年制作の映画「ごはん」は、シネコン全国5都市ほか、ミニシアターにてロードーショー後、各地での上映イベントが38ヵ月間続くロングラン作品となりました。 2023年、父の逝去により実家の米農家を継ぎ、監督業と農家の二刀流で活動中。 現在公開中の新作映画「侍タイムスリッパー」は、口コミで話題が広まり、新宿ピカデリーやTOHOシネマズ日比谷ほか、全国130館以上で順次拡大公開しています。
映画「侍タイムスリッパー」とは?
幕末の侍が現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、“斬られ役”として第二の人生に奮闘する姿を描いた時代劇コメディ。“自主映画で時代劇を撮る”という挑戦と、アイデアに富んだ脚本に感銘を受けた東映京都撮影所が特別協力。
◆「この映画は絶対に撮らなあかんな」
茂木:映画「侍タイムスリッパー」は、本当に時代劇の現場のスタッフの方々の熱量や愛がある映画になりましたね。 安田:よく毎日怒られていましたけどね(笑)。 茂木:どういうことで怒られたんですか? 安田:「京都撮影所」といったら、時代劇を撮るために特化したいろんなシステム、やり方が確立されていて、すごく腕の立つ職人がワーッてやるわけです。そこに、素人集団の10人ぐらいの映画のロケ隊が入っていくから、いろんなところで騒ぎとかトラブルを起こすわけですよ。大概は「何してんねん!」って怒られるわけだけど、その場で「すみませんでした!」と言ったら、「今度から気ぃ付けよ」という感じで言ってくれて。 ただ、僕が「すみませんでした。ご迷惑をおかけしましたね」と言ったら、「おお、かまへんかまへん。どうや? ええ感じで進んでるか? 頑張りや!」という感じで、僕には誰も怒らないんですよ。あの撮影所のなかの職人さんたちの、そういう愛情をずっと感じながら最後までできたというのは、僕としてはいい経験でしたね。 茂木:それが画面から滲み出ていましたね。 安田:「自分たちのことを映画にしてくれる」というちょっとうれしい気持ちもあったのかもしれないけど、はじめにいろんな方が集まってくださったときに「安田さん、これは自主映画なんでしょ?」と。「そうです」と言ったら、「わしらな、自主映画で時代劇撮るって言ったら全力で反対するんだけれども、これは本がおもろいわ。せやからこうやってみんなで集まってな、何とかならへんかなと考えてんねんか」とおっしゃってくださったときに、「これは絶対撮らなあかんな」と思いましたね。 茂木:こんなに大ヒットになって、いろんな意味で恩返しができましたね。 安田:そうですね。撮影所の皆さんが「よかったな~」と親身になって喜んでくれたのが僕としてはすごくうれしいし、時代劇に少しでも注目が集まるようなお手伝いができたんじゃないかなと思っています。 (TOKYO FM「Dream HEART」2024年10月19日(土)放送より)