ブロック塀の危険は今も…撤去が進まない理由は「私有財産」 宮城県沖地震から46年
仙台放送
宮城県沖地震では亡くなった28人のうち7割近くがブロック塀などの下敷きになったことが死亡の原因でした。当時から危険性が指摘されながら、46年経った今も危険なブロック塀は存在しています。 46年前の1978年6月12日午後5時14分、宮城県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生しました。県内では最大震度5を仙台市と石巻市で観測し、宮城県で27人福島県で1人のあわせて28人が亡くなりました。このうち7割にあたる19人がブロック塀などの下敷きとなって亡くなり、当時は全国的にブロック塀の危険性が指摘されました。しかし、2016年の熊本地震でも、2018年の大阪北部地震でもブロック塀が倒れ、下敷きとなって亡くなる人が出ました。そして、宮城県内でもいまだに危険なブロック塀は無くなっていません。 高橋咲良アナウンサー 「こちらが仙台市が危険と判定したブロック塀です。ひび割れが確認できますし、道路側に少し傾いているのが分かります。また、身長158cmの私よりもはるかに高く、手を伸ばしても届かないくらいの高さがあります」 県や仙台市は、宮城県沖地震発生直後から危険なブロック塀の調査を続けています。仙台市の最新の調査は2019年度から3年間かけて行なわれました。その結果、仙台市内の公道や通学路にある4万3600カ所のブロック塀のうち389カ所が、傾いたりぐらついたりしていて早急に撤去の必要がある「危険なブロック塀」と判定されました。その後、これまでに175カ所が撤去されましたが、今も214カ所が残っています。また、仙台市以外では通学路などのスクールゾーンで39カ所が危険なブロック塀と判定されています。危険なブロック塀が無くならないのは、あくまで私有財産であるため。撤去は費用も含め基本的に所有者の責任であることが大きいと仙台市の担当者は言います。 仙台市都市整備局建築指導課 佐藤匡係長 「除却に関しては工事費の費用負担というのはやはり大きくなりますので、なかなかそういった経済負担が難しいというのも1つの要因かと思いますし、また、地震が何回か来て倒れてないというので、まだ大丈夫だというふうに思ってしまっている方も中にはいらっしゃるのかなと思います」 工事費用の平均は昨年度でおよそ25万円。仙台市では「危険なブロック塀」の撤去を進めるため補助金を出していますが、撤去に踏み切らない所有者も少なくありません。さらに、危険なブロック塀がある建物のうちおよそ1割は空き家とみられていて、これも撤去が進まない大きな要因のひとつです。仙台市は撤去を進めるため、年に1回直接訪問して対応を促していますが、それにも限界があることは明らかです。 仙台市都市整備局建築指導課 佐藤匡係長 「会っていただける方もいらっしゃいますし、なかなかお会いできない、直接対面できないっていう方がいらっしゃいますので、その際、ポストに制度のお知らせや安全点検の必要性の啓発的なものを投函させていただいて、そういった活動でできるだけ接点をなくさないような形で継続していきたいというふうに考えています」 一方、専門家は「安全」と判定されているものであっても注意が必要だと指摘します。 東北工業大学 最知正芳名誉教授 「やはり安全と判定されても倒れてしまってるものがあったりする。ですから、まずは持ち主の方、借用の場合だったら借りている方も含めて、自分のところのブロックがどんな状況なのか、まだ何年経っていないからということではなくて、大丈夫なのかな、常に注意を払っておくということが必要だと思う」 仙台市はホームページやチラシで自分でチェックできるポイントを示し、持ち主に点検を促していますが、これも持ち主の自主性に委ねるほかありません。長年にわたって危険性が指摘されながら、なかなか無くならない危険なブロック塀。宮城県沖地震から46年が経った今も、対策にこれといった決め手がないのが現状です。
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