観光客から心配の声「通天閣」1か月以上ネオン点灯せず その理由とは
観光客から心配の声「通天閣」1か月以上ネオン点灯せず その理由とは 撮影・報告:柳曽文隆 THE PAGE大阪
この週末、大阪市浪速区の新世界周辺を歩いていると、携帯電話のカメラを構えながら「ネオンが光ってない」「最近ずっと暗いわ」と話す人の声が多く聞かれた。よく見ると、新世界のシンボル「通天閣」のネオンが点灯していなかった。聞けば、もう1か月以上点灯しておらず、ツイッターなどのSNSでも訪れた観光客らが残念がるつぶやきもみられる。なぜ点灯していないのか、関係者に話を聞いてみた。 【拡大写真】ネオン改装工事を終えカラフルな輝きを放つ通天閣(2017年2月10日撮影)
9月4日の台風21号の影響でLEDビジョンなど損傷
「実は9月4日に近畿地方に近づいた台風21号の影響で点灯できなくなりました」と語るのは、通天閣観光副社長の高井隆光さん。台風21号の影響で大阪府内各地で強風被害が相次ぎ、通天閣がある新世界でも飲食店の大看板が倒れたり、建物の工事現場の足場が崩れるなど大きな被害が出ており、通天閣にも飛来物がネオンに当たるなどして損傷した箇所が出た。 高井さんによると、ネオンは合わせて28か所でネオンが割れるなどの損傷が出た。28か所のうち、特に目立つものを挙げると、てっぺんの部分に設置され、ネオンの「色」で翌日の天気を周知する「光の天気予報」は、損傷のため正しく色を表示することができなくなった。 また、東側に設置され、デジタルや針の時計を表示しているLEDビジョンは、強い風雨により中に多量の水が入り込み、表示することができなくなったという。
業者も修理に追われ「うちの修理は落ち着いてからで」と伝えた
通天閣の広告ネオンの大きさは、高さ45メートル、幅5.2メートルの4面。使用されているLEDの総数は3万2579個で、ネオン管総本数も1989本に増やした。表示色はそれまでの倍となる12色で、これらの改装工事を昨年2月に行ったばかりだった。 これだけの数があれば、光らないネオンも「わずかでは」と思うかもしれないが「それらが点灯していないだけでも、言ってみたら『歯抜け』みたいな形になってしまう」と高井さんは語る。 また「光の天気予報」は、それぞれのネオン管の色を合わせて晴れの予報の場合は「白」、曇りは「オレンジ」、雨は「青」といった色を表示して天気を知らせている。これは1979年から日本気象協会関西支社の職員が手動で点灯させているため、正しい色を表示できない以上、点灯させるわけにはいかない。 損傷部分については修理が必要となるが、ネオンのメンテナンスを行う専門業者は、各地の大型看板やネオン、交通標識などで被害が出ており、その修理作業に追われている。緊急性を含むものが多いため、高井さんもそうした状況を踏まえ「うち(通天閣)の修理は、それらが落ち着いてからでいいです」と業者に伝えているという。