「会合にスマホの持ち込み禁止」名門ヤクザ・稲川会の総本部が傘下組織に発した「異例の通達」の中身
六代目山口組、住吉会に次ぐ国内3番目の勢力を持つ暴力団・稲川会。組織の源流となった稲川組は、戦後まもない1949年に立ち上げられた。以降、現在に至るまで長きにわたり活動を続け、今も構成員約1700人(’23年末時点)を抱える名門組織だ。 【貴重画像】すごい…!六本木に並び立つ「稲川会会長と六代目山口組幹部」圧巻のオーラ写真 そんな稲川会の総本部から、今春、傘下組織に対して「異例の通達」が出された。その中身とは、会合の際にスマートフォンなどの持ち込みを禁止するものだった。スマホの普及で手軽に写真や動画の撮影、録音ができるようになったため、会合の内容が外部に流出することを危惧した措置とみられる。 表題は「稲川会総本部御通知」と書かれており、その中には、 「稲川会館参集時(定例直参会・理事会)会館内には『スマートフォン・携帯電話・スマートウォッチ』の所持を厳禁と致します。各事務所責任者及び当番者の方は各一家総長各組長に必ず通達する様御願い致します」 と記載されている。発信元は「稲川会総本部」となっている。 書面に記載されている「稲川会館」とは、横浜市内にある稲川会の施設を指し、「定例直参会・理事会」とは、毎月、開かれている最高幹部会のことだ。この書面に記載されているような暴力団組織の最高幹部の会合について、活動歴が長い指定暴力団の古参幹部が解説する。 「(直系組長である)直参が集まる会合では新体制の人事が発表されて、組織としての方向性が示されるといった重要な内容となる場合があるが、10分程度の短時間で終了ということもある。それでも各直参への通達を行う、とても重要な場だ」 指定暴力団幹部は、稲川会から上記のような通達が出たことについて、「情報漏洩対策だ」と強調する。そのうえで、次のようにも指摘する。 「重要な議題が毎回あるわけではない。とはいえ、会合の内容が録音されて外部に流出していたら、組織として規律はどうなっているのかと疑問視される。近年はこのような音声を欲しがるユーチューバーがいるから神経質になっているのだろう」 スマホという高機能のツールが暴力団界隈に新たな問題を浮上させているようだ。 取材・文:尾島正洋 ノンフィクション作家。産経新聞社で警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブ、国税庁記者クラブなどを担当しフリーに。近著に『俺たちはどう生きるか 現代ヤクザのカネ、女、辞め時』(講談社+α新書)。
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